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美博ノート

コンパクト・オブジェ

碧南市藤井達吉現代美術館「夢を追いかけた“前衛”の鼓動」

中西夏之 ポリエステル樹脂ほか 14.0×23.0×15.0センチ 1962年 足利市立美術館蔵

 まるで機械仕掛けの卵。ぎっしりと詰まっているものの中には、黒電話の一部やファスナーも。
 作者の中西夏之(1935~2016)は、高松次郎、赤瀬川原平と結成した前衛グループ「ハイレッド・センター」の活動でも知られる。
 卵をかたどったポリエステル樹脂に日用品を封じ込めた「コンパクト・オブジェ」シリーズは1960年代、電車内に持ち込んで日常を攪乱するパフォーマンスの道具として制作された。
 この3点は、現代美術の画商・浅川邦夫さん(92)が足利市立美術館に寄贈したコレクション。浅川さんが勤めていた画廊に5点あったうちの2点を画廊主が売ってしまい、「中西が、これは5点セットだと怒った」という思い出話が、会場で紹介されている。
 特任学芸員の大野俊治さんは、「現代からみれば、まるで60年代のタイムカプセルのようだ」と捉える。

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