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美博ノート

「えじこ型のこけし」

愛蔵こけし(豊田市民芸館)

主に昭和40年代に収集されたこけし
主に昭和40年代に収集されたこけし

 伝統的なこけしといえば、細長い胴に丸い頭が一般的。だが、展示室には、一風変わったえじこ型のこけしも並ぶ。

 「えじこ」とは、わらで編んだ籠のこと。かつて東北地方では、農作業をするときなどに乳児を寝かせておくのに使っていた。えじこに入った乳児を表したのがこのこけしだ。

 「もともと土や布を素材に作られていた人形の形をまねて、こけし職人が作り始めたようです。その後、こけしの一つの形として定着したのでしょう」と愛知県・豊田市民芸館の内田美穂子学芸員は話す。

 今も伝統こけしの各系統で作られており、産地や作者によって形や模様は様々だ。なかには、首がゆらゆら動くものや小物入れとして使えるものもある。

(2019年2月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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