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私の描くグッとムービー

くまおり純(イラストレーター)
「HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY」(2017年)

親孝行なギャング? エネルギーに感化

くまおり純(イラストレーター)「「HiGH&LOW THE MOVIE 2 END OF SKY」(2017年)

 「HiGH&LOW」シリーズはテレビドラマから派生し映画化された作品です。数多くある関連作品の中でも本作は、いくつかの対立するギャングチームが、自分たちの住む地域をカジノ化しようとする勢力に対抗するため団結し、戦いを挑むというストーリーです。

 この映画を見ようと思ったきっかけは、知人が毎日のようにSNSでこの映画についての情報を発信しているのを目にしていたからです。事前に作品について調べてみた際、作中に登場する学校名が「鬼邪高校」と書いて「おやこうこう」と読むということを知ってがぜん興味がわきました。校名の字面から、いかにも荒れていそうな学校なのに、わざわざ「親孝行」と読ませるその漫画的なセンスにひかれたのです。イラストも鬼邪高校の番長・村山を描きました。想像していたとおり、まるで漫画から抜け出してきたようなキャラクターとストーリーでしたが、役者の個性が生かされていて画面に勢いや華やかさがあり、バックに流れる楽曲も素晴らしくて見ていると気分が盛り上がります。今作はとくにバイクや車のアクションシーンが派手で、見応えも十分です。

 この映画の持つエネルギーと、けんかや傷などのモチーフは私の普段の生活や作風とはかけ離れている気がしますが、この作品を鑑賞した後はなぜかとても活動的になることが多いのです。外出したり、作品を販売するイベントに参加したり。この作品に出会ったことで、世の中の魅力的なものを受け取る「好き」のアンテナが少し増えた気がしています。

(聞き手・高田倫子)

 

  監督=久保茂昭、中茎強
  出演=岩田剛典、TAKAHIRO、登坂広臣、林遣都、山田裕貴、NAOTO、中村蒼ほか。
くまおり・じゅん
 1988年、京都府生まれ。少年少女がたたずむ風景作品を手がける。代表作に「ペンギン・ハイウェイ」(角川書店)の装画。
(2020年11月27日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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