私がハローキティに恋をしたのは2023年の冬でした。
サンリオピューロランド(東京都多摩市)で記念撮影してもらった後、あまりの可愛さに興奮冷めやらぬまま小田急に乗ったのを、昨日の出来事のように鮮やかに覚えています。この日を境に、「キティちゃんを好きな20代の一般女性」から「熱狂的なハローキティファン」へと変貌したのでした。
(大石裕美)
©’25 SANRIO 著作(株)サンリオ
皆さんにとって「可愛い!」と感じるものは、何ですか?
アイドル、アニメキャラクター、動物など推しの対象は様々ですが、「日本を代表する可愛いキャラクターはハローキティ」と私は断言してはばかりません。ハローキティは全世界の「可愛い」の象徴なのです!
ハローキティを愛する筆者にとって今、一年で最も「推し活」に力を入れなければいけない時期に突入しています。ファンによる人気投票イベント「2025年サンリオキャラクター大賞」の投票締め切りが5月25日に迫っています。
今年で40周年を迎えるこの企画は2018年以降投票数が増え続け、昨年は過去最多となる5707万4053票を集めました。サンリオには450を超えるキャラクターがいますが、今年はそのうち90がエントリー。栄冠を手にするのは?筆者が愛するハローキティの順位の行方は?
結果発表まで、2回にわたって熱戦を見届けます。
開幕直後から波乱
投票は4月10日に始まり、5日後には初回速報が発表されました。筆者の予想では、50周年のアニバーサリーイヤーを迎えるマイメロディとリトルツインスターズ、5連覇中のシナモロールが優勢と予想していました。
ところが、暫定1位は昨年4位のポムポムプリン。なんてこった!予想外です。実はポムポムプリンは2015年から2023年まで、トップ3位にランクインし続けていた人気キャラ。昨年は13年ぶりの3位圏外となっていましたが、サンリオの担当者は「何としても今年は上位に入れたいというファンの本気度の現れでは」と分析します。ハローキティ50周年の節目だった昨年、筆者が「なんとしてもキティちゃんに1位を」と意気込み、5位に終わった悔しさと近いものを感じます。
ちなみにシナモロールは2位、昨年2位に輝いたポチャッコが3位につき、昨年トップ3に入ったキャラクターたちは好発進でした。
ハローキティは昨年の最終順位と同じ5位発進。1998年から2009年まで12連覇を達成しているのですが、ここ数年は6位、5位を行き来しています。年々、人気を集め、力をつけてきた他のキャラクターたち。「必ずキティちゃんを返り咲きさせる!」と一人拳を握りしめ、筆者は日課となったウェブ投票するのです。
初代1位は意外キャラ
サンリオキャラクター大賞と称して公式に投票企画が始まったのは1986年。それまでは別の名称でコンテストが催され、1985年の投票コンテストには、トップ3位に選ばれるとサンリオが発行する機関紙「月刊いちご新聞」の表紙を飾れるという特典がついていました。推しキャラを表紙に!とファンは盛り上がったそうです。
1986年開催の第1回は43のキャラクターが名乗りを上げ、1位に輝いたのは「ザシキブタ」でした。ザシキブタのグッズ販売が盛んとなったタイミングと重なったこともあり、人気を押し上げたとみられます。
©’25 SANRIO 著作(株)サンリオ
ハローキティの人気が爆発したのは1990年代後半。平成のギャルブームと相まって、ヒョウ柄やキルティング素材のキティちゃんグッズを女子高生らが持ち歩き、海外にまで広く認知されるようになりました。今では海外の有名アーティストがハローキティを衣装に取り入れたり、コラボグッズを作ったりと人気ぶりは万国共通に。2023年には米大リーグドジャースのイベントに登場。令和の大スター「オオタニサン」が現在所属するチームと同じユニフォームを着ちゃうのですから、すごいとしか言いようがありません。
米ロサンゼルスのドジャースタジアムで開催されたイベント
「Hello Kitty Night」に登場したハローキティ
=2023年8月3日 ©’25 SANRIO 著作(株)サンリオ
何とかキティちゃんを1位にしたい!
今月13日、中間発表が出ました。トップ5の順位は初回速報と変わりません。やはりポムポムプリンの優勢は続いています。6連覇がかかるシナモロールは依然2位です。そしてハローキティは5位。
筆者はイベント開始からすでにキーホルダーやポーチ、文房具、バッグといったグッズを1万円近く購入し投票。日課のウェブ投票も欠かさず行ってきました。毎日無料でウェブ投票できるので、友人や身内にも協力要請しようと思います。
©’25 SANRIO 著作(株)サンリオ
面白いのは速報10位だったタキシードサムを追い越してトップ10にランクインしたあひるのペックル。また2023年デビューのはなまるおばけ、2022年デビューのがおぱわるぅといった新しいキャラクターも上位を狙える位置をキープしています。2025年の結果は例年と異なる特徴が見いだせるかもしれません。
推しキャラは違ってもファンは同士
5月中旬の平日、都内のサンリオショップは親子連れや女子中高生、外国人観光客などで賑わっていました。
今年は、グッズを購入するとレジでもらえる投票カードでサイトにアクセスするか、スマホアプリ「Sanrio+」で投票できる仕組み。購入金額に応じた回数投票ができます。サンリオによると、昨年までは店頭で商品を買った際にもらうチップを投票ケースに入れる方法もありましたが、ウェブ投票が半分を占めていたことや、海外の参加者が増えていることから、今年は店頭での投票をウェブ投票へ移行したとのこと。またグッズを購入しなくても、1日各キャラクターに1票を無料で投票することもできます。英語や韓国語など4カ国語で投票ページを見ることができ、14の国と地域ごとの上位キャラクターも発表されています。
年代別で見ると、例年20代の投票数が多く、昨年は約40%が20代。10代から60代まで幅広く参加しているだけでなく、約20%は男性だったそう。ちなみに男性人気が高いキャラクターは、ぐでたまやバッドばつ丸なんだとか。
取材したSanrio NISHIGINZA店では、ハローキティが暫定1位でした。外国人観光客が多く訪れる店なだけに、やはり海外でも認知度が高いハローキティの人気ぶりが証明されているのでは。筆者はご満悦です。
そして何よりうれしかったのは、同じようにサンリオキャラを愛し、投票を楽しむファンの声を聞けたことです。
東京都荒川区の大学生、三浦かいらさん(19)はシナモロール推し。中間発表で2位という結果について、「今年も1位を狙っていますが、ついに抜かれたかと。キャラクター大賞はいま何が人気なのかわかるので楽しい。毎年参加しています」とグッズを選びながら熱く語ってくれました。
家族と買い物に来ていた神奈川県横浜市の会社員、末永美玖さん(32)は幼いころからマロンクリームが大好き。「人気が上がればグッズが増えるはず。何とか20位以上にランクインさせてあげたい」と口調に思いの強さがにじみます。自分と同じようにイベントを楽しむサンリオファンは、推しキャラは違っても、みんな同志のように思えました。
受け継がれ、歴史は続く
筆者はなぜハローキティが好きなのか。それは母の影響です。母が女子高生だったころ、私と同じようにサンリオショップへ行き、グッズを探して見て回るのが好きだったそう。母が持っていた文房具や食器は、おさがりとして筆者が幼少期に使っていました。いつも何となく好きだったハローキティ。そして思慕を強くしたのがサンリオピューロランドでの出会いだったのです。
ハローキティは昨年、50周年の節目を迎えました。ほかにも今年50周年となるマイメロディやリトルツインスターズ、40周年のハンギョドン、20周年のクロミなど、長きにわたってキャラクターの可愛さは世の中を席巻してきました。世代を超えて愛されるという点はサンリオキャラの魅力の一つ。実際にSanrio NISHIGINZA店では、「赤ちゃんのお土産を買いに来た」「娘が小さいときから好きなので」と親子でグッズを楽しむ人の姿が多く見られました。
投票最終日は5月25日。残すところわずかです。ハローキティはどこまで順位を上げるのか。ぜひ投票に参加し、推しのサンリオキャラクターを探してみてください。