弁護士が交通事故のお悩みにお答えします
弁護士の甲野裕大さんが交通事故にまつわる様々なお悩みにお答えします。今回の相談者は、渋滞で停車中に追突されたにもかかわらず、相手の保険会社から20%の責任があると言われ、納得できないと考えています。
渋滞で停止中に、後ろから車で追突されました。相手が100%悪いと思っていたのですが、相手の保険会社から「あなたにも20%の責任があるため、80%分しか補償できない」と言われました。相手の言い分は正しいのでしょうか?(東京都在住、30代男性)
結論からいいますと、あなたの車が完全に停止した状態で後ろから追突されたのであれば、基本的にあなたに責任はなく、相手の言い分が正しいとはいえません。その理由と、今後の対応について具体的に解説します。
1. 後ろからの衝突事故は原則として加害者側が100%の責任
完全に停止している車両に後方から追突した場合、追突された車両(被害車両)と追突した車両(加害車両)の責任の割合(過失割合)は、原則として【被害車両:加害車両=0%:100%】です。
後方を走行している車両の運転者には、前方車両との車間距離を適切に保ち、仮に前方車両が急停止しても追突せずに停止できる状態で走行する義務があるためです(道路交通法26条)
2. 例外的に被害者にも責任が認められるケース
ただし、後ろからの追突事故であればどんな時でも追突された側に100%責任はないというわけではなく、例外的に追突された側にも責任があると判断されることがあります。
たとえば、必要のない急ブレーキをかけたせいで後ろの車両に衝突された場合は、追突された車両にもおおよそ20%〜30%の責任(過失割合)が認められることがあります。道路交通法24条は、危険を回避するためのやむを得ない場合を除いて、急ブレーキを禁止しているためです。
また、追突された車両が、夜間にもかかわらず無灯火で停止していたところに車両が追突した場合にも、追突された車両に一定の責任が認められます。
3. 迷保険会社の主張に納得できない場合の対応方法
今回のご相談は、渋滞で停止したところに後ろから衝突されたというケースとのことですので、「不要に急ブレーキをかけた」というような事情が無い限り、相談者に責任が発生する可能性は低く、相手の保険会社の主張が正しいとはいえないと考えられます。そこで、今後は以下のように対応することをお勧めします。
①相手の保険会社に具体的な根拠を確認する
相手の保険会社に、20%の責任があると主張する具体的な理由を尋ねましょう。その際、主張の根拠となる証拠の提出を要求すると良いでしょう。
たとえば「前方車両が不要な急ブレーキをかけたため衝突した」と主張してきた場合は、加害車両側のドライブレコーダーの映像を提出するように求めましょう。
②証拠を確保する
上記①と並行して、こちら側でも事故時の状況を証明する証拠をできる限り確保しましょう。後方の映像を記録しているドライブレコーダーのデータが残っている場合は、その映像データが消えないようにパソコンなどに移行して確実に保存しておきましょう。
被害者側、加害者側双方に映像の記録が残っていない場合は、事故現場周辺の防犯カメラ映像、事故の目撃者の証言、車両の傷のつき方の画像や映像などが重要な証拠となります。事故時の状況を証明できる証拠を確保するように、できるだけ早めに動きましょう。
③保険会社と交渉する
相手の保険会社の説明に根拠がないと感じた場合は、事故時の映像データなどの証拠を提出し、こちらの言い分の正当性を伝えて、交渉しましょう。
④悩んだら弁護士に相談・依頼を検討する
保険会社の主張にどのように対応すれば良いか悩んだり、証拠の確保に迷う場合などは、一度弁護士に相談することをお勧めします。
事故の責任についての争いは法的な問題であり、適切に対応するためには過去の裁判に関する知識や経験が必要です。交通事故を取り扱う弁護士に相談することで、保険会社との示談交渉への対応についてアドバイスを受けられます。
また、保険会社との示談交渉や裁判などの手続きは被害者にとって負担ですが、弁護士に依頼することで、これらを任せることができます。
なお、弁護士への依頼を検討する際は、ご自身の自動車保険などに「弁護士特約」が付帯していないか確認しましょう。一定の利用条件はあるものの、弁護士費用を保険会社が負担してくれるため、費用の心配なく依頼することが可能です。
(記事は2026年5月1日時点の情報に基づいています。質問は実際の相談内容をもとに再構成しています)
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