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建モノがたり

豊田市井上公園水泳場(愛知県豊田市)

しずくと三角形 開放感を実現

プールには音が適度に響くよう吸音機能も重要。左壁面と天井の一部に水濡れに強い吸音材を設置した。[前]9時~[後]9時(入場は8時まで)。祝日を除く月、年末年始(12月28日~1月4日)休み
プールには音が適度に響くよう吸音機能も重要。左壁面と天井の一部に水濡れに強い吸音材を設置した。[前]9時~[後]9時(入場は8時まで)。祝日を除く月、年末年始(12月28日~1月4日)休み
プールには音が適度に響くよう吸音機能も重要。左壁面と天井の一部に水濡れに強い吸音材を設置した。[前]9時~[後]9時(入場は8時まで)。祝日を除く月、年末年始(12月28日~1月4日)休み 曲面を覆う三角形は微妙に形が違い、同じ形は2枚ずつしかない。先端だけは八角形

住宅地が広がる中に野球場やテニスコートが集まるエリア。宇宙船のような、巨大甲虫のようなこれは何?

 屋内になっても、屋外プールの気持ちよさをーー。老朽化したプールを造り替えた井上公園水泳場の計画は市民からのそんな要望を受けながら始まった。 

 INA新建築研究所の楠部博政さん(58)率いる設計チームは、要望された開放感を実現でき、水のイメージに合う建物として「しずく」の形を考えた。 

 しずくらしい浮遊感を出すため、外壁の曲面は地面近くですぼまっている。入り口への通路のひさしは本体に密着させず、形の美しさを強調した。

 柱やハリがない構造を支えるのは、三角形がクモの巣のように連なるネット状の鉄骨。規模からいえばネットを2枚重ね、その間にも鉄骨を渡す立体トラス構造が一般的だが、厚みが出て屋外らしさや浮遊感から遠のいてしまう。

 悩んだ末、設計チームは気が付いた。「水のしずくは上から力をかけない限りつぶれない」。同様に安定感のある三角形の平面の構造でも支えられると確信した。構造解析や適切な高さの検討の末、明るく開放感のある壁面を実現させた。

 床面積の半分強を占めるプール部分の壁面はガラス張り。外側は直射日光を遮るため白い点を焼き付けた断熱ガラス、その下に低放射ガラスと通常のガラスを重ねた3層構造に。優しくふり注ぐ光を実現させた。

 更衣室やトレーニングルーム、スタジオ部分はコンクリート造りとし、横揺れにも踏ん張れる耐震性を確保した。

 工事管理を担当した豊田市都市整備部の井上佳大さん(50)は「子どもたちもよく利用しています。非日常を味わえる自慢のプール」と誇らしげだ。

(島貫柚子、写真も)

 DATA

  設計:豊田市都市整備部、INA新建築研究所
  階数:地上2階
  用途:屋内プール
  完成:2007年

 《最寄り駅》 猿投


建モノがたり

 徒歩3分の井口製菓舗(問い合わせは0565・45・0315)は豆から煮るあんなど手作りにこだわっている。「花カステラ」(160円)、粒あんを使った「生クリーム大福」(200円)、抹茶、煎茶、てん茶の3種の茶葉を使用した「お茶の葉饅頭」(190円)が人気。[前]8時半~[後]6時(日は5時半まで)。水休み、不定休あり。

(2022年9月27日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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