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建モノがたり

御成座(秋田県大館市)

昭和香る劇場 映画ファン魅了

どこか懐かしいレトロな雰囲気の御成座。味わいのある手描きの絵看板が目をひく

秋田・大館にあるたった一つの映画館。老朽化にも負けず、何度も立ち上がる姿が映画ファンを魅了する。

 JR大館駅から歩いて5分。昭和の雰囲気を色濃く残す映画館「御成座」は、懐かしいベニヤ板に手描きの絵看板が目をひく。ロビーには古い映写機が飾られている。シネコンと違いスクリーンは一つ。

 1952(昭和27)年にオープンし、2005(平成17)年に閉館した。ずっと放置されていたものを電気通信設備工事会社を経営する切替義典さんと妻の桂さんが14年に再オープンさせた。当初は、映画館ではなく住居に利用する予定だったが、周囲から復活を期待され再開を決意した。

 昭和の雰囲気が話題となり、全国から訪ねてくるファンもいる。

 中に入ると、防音シートを手作業で貼り付けており、手作り感があふれる。雨の日は上映中にも雨音がわずかに聞こえる。隣に旅館があり、映画の音声が旅館まで聞こえてしまったことも。現在は、午後8時以降の音漏れに配慮しながら運営している。

 劇場の左右の壁やシートの足元には、温水を循環させる暖房装置が残る。ただ、修理は費用的に困難といい、暖房にはストーブを使っている。

 映写室のある2階には住居もあり、切替さん家族と映写技師が暮らす。トイレは1階の観客用を使う。風呂はなく近くの日帰り温泉通いだ。子どもたちからは「普通の家に住みたい」の声も。

 再開前、大館の映画館はすべて閉業。映画を見るには、大館市中心部から車で秋田市まで約2時間、青森県弘前市なら約1時間かけて行っていた。今は、近くで見られると喜ばれる。

 ミニシアターのカテゴリーに入るので、こだわりのある作品にも対応。「映画ファンにとってはいいのかな」と切り盛りする桂さん。通常の上映での満席はまだないが、イベント利用では満席になることもある。

 大館の映画文化を支える御成座だが、今年5月6日にはプロジェクターが故障し一時休業。SNSで窮状を訴えると、岩手県釜石市の施設から貸与してもらえることになり、19日に再開にこぎつけた。本格復旧のためホームページで寄付も募る。御成座の物語は現在進行形だ。

(見沢康、写真も)

 

 DATA

  階数:地上2階(1階=劇場、2階=映写室・住居など)
  用途:映画館・イベント
  営業:1952年開館(2005年閉館、14年再開)

 《最寄り駅》:大館

 

建モノがたり

 大館駅前の観光交流施設「秋田犬(いぬ)の里」(☎0186・59・4649)は、御成座からも徒歩で数分。秋田犬をガラス越しに見学できる秋田犬展示室やミュージアムがある。午前9時~午後5時。入館無料。12月31日、1月1日休館。秋田犬展示室は午前9時半~午後4時45分、月(祝の場合は翌平日)休室。

2026年6月2日、朝日新聞夕刊記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください。

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