ぶらり、ミュージアム

9年ぶりにオープン 
「五感で楽しめる」県立美術館

(大分県立美術館)

アンリ・ルソー 散歩(ビュット=ショーモン)

アンリ・ルソー 散歩(ビュット=ショーモン)

  • アンリ・ルソー 散歩(ビュット=ショーモン)
  • パノラマ外観夕景 (c)Hiroyuki Hirai
  • 3階ホワイエ (c)Hiroyuki Hirai

 2015年4月24日(金)、「日本一のおんせん県」を名乗る九州・大分に大分県立美術館(OPAM)が開館します。長崎県美術館(2005年)、青森県立美術館(2006年)以来、9年ぶりに新設される県立美術館です。

 ハコモノと揶揄(やゆ)されることの多い公立美術館ですが、金沢21世紀美術館の成功例を出すまでもなく、近年では「開かれた美術館」が大きなトレンドとなっており、この大分県立美術館も“「自分の家のリビング」と思える美術館”をコンセプトのひとつに掲げています。敷居の高いイメージの近寄りがたい美術館ではなく、来館者が自宅のリビングにいるかのような、気軽に立ち寄れる美術館を目指すそうです。

 長崎県美術館(設計:隈研吾)、青森県立美術館(設計:青木淳)と世界でも名をはせている建築家が設計担当していることも注目を集める大きなポイントでもあります。大分県立美術館を手掛けたのは2014年3月に建築界のノーベル賞とも呼ばれるプリツカー賞を受賞した建築家の坂茂(ばん・しげる)氏です。

 東日本大震災の被災地への支援や震災により倒壊したニュージーランド、クライストチャーチ大聖堂を「紙の建築」によりよみがえらせたことなど、様々な活動によって世界的にも注目を集めている建築家、坂氏が手掛け、大規模な木の構造体と、フレキシビリティの高い空間設計によって、全く新しい美術館のあり方を提案しています。

 大分の美しい豊かな自然美術を壁で遮断してしまうのは、あまりにも無粋であることや、「開かれた美術館」であることが外見を一目見ただけで分かってもらえるよう、建物をガラスで覆い、外壁の下部には開放すると内外が一体となるガラス水平折戸を採用しています。また上部は伝統工芸の竹工芸をイメージさせる構造を大胆に採用しています。

 館内に同時にオープンする「Café Charité(カフェ・シャリテ)」にも注目です。坂氏のデザインした紙管を使った独創的なインテリアは、紙のぬくもりとスタイリッシュな非日常感が同居する空間となっています。他にもミュージアムショップや情報コーナーも坂氏がインテリアを手がけています。iichiko総合文化センターの向かいという好立地に新たに誕生する「五感で楽しめる」大分県立美術館に注目です。

 

耳よりばなし

 日本独自の感覚に立脚しながら物事の本質を問う作品を展開し、個展のみならずエルメスなどとの企業コラボレーション、ホテルのアートディレクションとまさにマルチな活躍をみせる現代アーティスト、ミヤケマイさんが大分県立美術館開館に合わせ1階アトリウムに常設展示作品を制作しました。「ミヤケマイ、世界は届けい・セカイハトドケイ - 大分の中心で家内安全を叫ぶ WORLD could be a safe place CLOCK」と題された“大分観光壁”で、美術館アトリウムの西側スペースを「大分の光」で充たします。ミヤケさんの他にもマルセル・ワンダース×須藤 玲子「ユーラシアの庭 - オランダ、日本のデザイン対決」などインスタレーションが出現します。


データ

大分県立美術館(OPAM)

〒870-0036
大分県大分市寿町2番1号
開館時間:
日曜日~木曜日 午前10時~午後7時
金曜日、土曜日 午前10時~午後8時
(入館は閉館の30分前まで)

休館日:原則、年中無休(ただし、企画展・コレクション展の準備・展示替等で展示をご覧になれない期間や設備点検等により全館休館する場合があります)
電話:097-533-4500
URL:http://www.opam.jp

(おわり)


 【筆者プロフィール】

中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/

(2015年4月20日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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