旅してサプリ

4千メートルの高低差が織りなす富山の自然

水中保存されている埋没林。今にも動き出しそうな迫力

水中保存されている埋没林。今にも動き出しそうな迫力

  • 水中保存されている埋没林。今にも動き出しそうな迫力
  • 富山県7大河川の一つ、片貝川。立山連峰の北端を源とする急流河川だ
  • 水を均等に流す東山円筒分水槽
  • オレンジ色の車体のトロッコ電車。トンネル内はぐっと気温が下がる
  • 日本初の排砂機能を持つ、出し平ダム。トロッコの車窓から見える
  • 海岸でヒスイ探し。子ども以上に大人が夢中になるとか

 富山県が誇る、3千メートル級の立山連峰と水深千メートルを超える富山湾。高低差4千メートルのダイナミックな地形が生み出す、豊かな自然をめぐる旅に参加しました。

文・写真/星亜里紗

 ◆「魚津三大奇観」の埋没林

 東京駅から北陸新幹線「はくたか」で約2時間半。黒部宇奈月温泉駅に降り立った。

 バスに乗り、まずは魚津市内へ移動。地元バス会社の朗らかなバスガイドさんから、市の名物である埋没林、蜃気楼、ホタルイカの「魚津の三大奇観」について教わる。バスは富山湾に沿ってしばらく走り、市立の魚津埋没林博物館に到着した。同館では、埋没林と蜃気楼について学ぶことができる。館内のプールで水中保存されている、樹齢500年以上の樹根は端から端まで約10メートルもあり、圧巻の迫力だ。国の特別天然記念物である魚津埋没林は約2千年前、片貝川の氾濫の影響で海面下に埋もれてできたとされる。蜃気楼のコーナーでは、本物と同じ仕組みで発生させたミニ蜃気楼を観察できた。魚津市の海岸では、3月下旬から6月初旬にかけていくつかの条件がそろえば蜃気楼が見られる。決まった時期に蜃気楼が見られる地域は、世界でもめずらしいという。

 昼食は、魚津駅近くのすし屋・太助鮨で「富山湾鮨」を食べた。富山湾鮨とは、2011年から取り組みが開始され、現在県内の55店で一律2000~3500円(税別)で提供している10貫のセット。県産米のシャリに、富山湾の「きときと」な海の幸を使うのが決まり。きときとは「新鮮」という意味で、富山の方言である。旅先で入るすし屋は、値段がわからないという不安がよくあるが、富山湾鮨を扱う店なら安心だ。「富山湾の宝石」と称されるシロエビや、ノドグロなど旬の地魚を堪能した。

 再びバスに乗り、片貝川の近くを移動していると、のどかな田園風景の中に円形の不思議な造形が現れた。立ち寄ると、「東山円筒分水槽」という看板が。片貝川は急流河川として知られ、その沿岸地域は豪雨時には水害、夏期には深刻な水不足に悩まされ、水をめぐる争いが絶えなかった。このことから、明治43(1910)年に民主的な分水のための組合が組織される。しかし、粗悪な水路のため、水不足は解消されなかった。そこで昭和30(1955)年に作られたのが、この分水槽だ。円筒の中心に水が来て、360度全方向へ均一に流れ落ちる水を、仕切りの配置や出口の数などで公平に分配することができる。

 ◆絶景を肌で感じるトロッコ電車

 続いて、日本一の深さのV字峡谷を有する黒部峡谷へ。名物である黒部峡谷鉄道のトロッコ電車に乗った。始発の宇奈月駅から終点の欅平(けやきだいら)駅まで約20キロ、1時間20分かけて走る。湖上に浮かぶヨーロッパの城のような新柳河原発電所のほか、第2、第3の各発電所とそれらに付随する三つのダムも見ることができる。吹き抜けのトロッコ電車は風を切って進み、絶景を肌で感じられた。社内アナウンス(録音)は、富山県出身の女優・室井滋さん。軽快なトークやクイズで道中を盛り上げてくれる。高さ200メートルの切り立った「ねずみ返しの岸壁」や高さ60メートルの後曳(あとびき)橋など、車窓の景色は次々変わり、長さを感じさせなかった。

 欅平駅に着いたら、国の特別天然記念物「猿飛峡」まで歩いて散策。両岸には断崖が迫り、黒部川がダイナミックに流れる。展望台から奥鐘山(おくかねやま)を眺めながらひと休み。そばには秘湯・祖母谷(ばばだに)温泉から引湯された足湯もあり、疲れた足をリフレッシュできた。

 ◆ヒスイ海岸で自分だけの宝探し

 次に訪れたのは宮崎海岸、通称「ヒスイ海岸」。東の姫川の上流には小滝ヒスイ峡、青海川の上流には橋立ヒスイ峡といったヒスイの産地がある。諸説あるが、それらの川からヒスイが海に流れ、波によって海岸に打ち上げられるそうだ。

魚津のパワースポット

 長靴にはきかえ、ヒスイ探しを体験した。早速きれいなエメラルド色の石を発見するも、ヒスイそっくりなキツネ石だった。似ている石が多く、なかなか難しい。朝日町観光協会の人いわく「海が荒れたあとのほうが打ち上がるようですよ」。ヒスイガイド(参加者1人につき千円)をしている名人に依頼すると、見分け方のコツを教えてくれる。しばし時間を忘れて宝探しに夢中になった。拾ったヒスイは、アクセサリー体験教室でブレスレットにすれば、とっておきのお土産に。

 ヒスイ探しでお腹がすいたら、朝日町の名物「たら汁」で腹ごしらえを。タラのぶつ切りをみそで煮込んだ味わい深い一品だ。かつてタラが豊富に水揚げされたことから、郷土料理として今も受け継がれている。

 最後は入善町(にゅうぜんまち)の沢スギ林へ。黒部川扇状地の最下流にあり、めずらしい平地の湧池に育まれた沢スギ群が見られる。昭和44(1969)年頃は45ヘクタールあった林だが、整備事業によってほとんどが水田に変わってしまった。現在わずかに残る2.67ヘクタールは国の天然記念物として保護されている。水と森が共存する不思議な空間の中、整備された木道を歩きながら森林浴を楽しんだ。

 水が美しい富山県。渓谷や海岸以外にも、水が育んだ大自然に圧倒される旅だった。

 富山県は2013年から「大人の遊び、33の富山旅。」と題する観光プログラムを順次発表してきた。今回体験してきたプランは「絶景」シリーズの一つ。「アート&クラフト」シリーズもある。

 

 パワーチャージ

魚津のパワースポット

 魚津市内を流れる片貝川の上流には、天然のスギ「洞杉(どうすぎ)」がある。幹に空洞があることからこの名がついた。花崗岩質の巨大な転石や露岩の上に乗るような形で生育している。樹齢は古いもので1千年を超えるものも。独特な形状の巨木群は、魚津のパワースポットとして知られる。

 

 

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※応募には朝日マリオン・コムの会員登録が必要です。
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→終了しました。たくさんのご応募ありがとうございました。

(2018年3月19日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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