巨大な倉庫が並び、トラックが出入り……だけじゃない、「開かれた物流施設」ってどんなところ?
ネット通販で身近な宅配便だが、家に荷物が届くまではブラックボックス――。そんな「物流」のイメージを変えたいと物流施設大手・日本GLP(本社・東京)が建設した「GLP ALFALINK相模原」は、業界の人手不足解消にもつながる地域に開かれた形を目ざした。全体のコンセプト、デザインを手がけたのは、クリエーティブディレクターの佐藤可士和さん(58)だ。
東京ドーム6個分ほどの広大な敷地の入り口では、オブジェのような高さ約10メートルのロゴマークに迎えられる。芝生の中を緩くカーブする遊歩道に導かれるように進むと、ガラス張りの「リング棟」に突き当たる。4棟の巨大な物流施設に囲まれた共用施設だ。
直径86メートル、2階建てドーナツ形のリング棟には誰でも使えるコンビニ、レストラン・カフェ、テーブルのあるオープンスペース、従業員向けの会議室、託児所がある。中央を貫通する車路をさまざまなトラックが行き交う一方、散歩する園児、思い思いの場所で休憩する従業員らの姿があった。屋外コートは小学生向けのサッカー教室や夏祭りなどイベントに使われるほか、時間貸しされる。
新形態の大規模施設は「当社にとって大きな挑戦だった」と広報の大石真史さん(42)は話すが、ふたを開ければ満床でオープンした。佐川急便やアマゾンをはじめ運送、通販、食品など30社ほどが入居し5千人以上が働く。「従業員の方からは、ここでは子どもからお年寄りまでいろんな人に出会え、明るい気持ちになれると言われます」と手応えを感じている。
イベントをきっかけに企業の壁を越えて知り合い、ビジネスにつながった例もあるという。コンセプト作りから始め、「半年ぐらい社長を質問攻めにした」(大石さん)佐藤さんは、「そうなればいいなと願った通りになった、最高のストーリー」と話した。
(深山亜耶、写真も)
DATA クリエーティブディレクター:佐藤可士和 《最寄り駅》:橋本駅からバス |
リング棟2階のALFALINK Cafe(問い合わせは042・707・2125)は一般にも開放された、カフェテリア方式のレストラン・カフェ。リング棟を模した「アルファリングパン」は丸いパンの中央のくぼみにあんバターがたっぷり。日替わりの定食などを提供するレストランは午前11時~午後2時。カフェは7時半~5時。(土)(日)(祝)休み。