池袋駅から徒歩約5分。建築界の巨匠フランク・ロイド・ライト(1867~1959)が校舎として設計した木造の建物がある。
国指定重要文化財の自由学園明日(みょうにち)館は、ジャーナリストの羽仁もと子と夫の吉一が1921(大正10)年に創立した女学校の校舎として建てられた。モットーに「生活即教育」を据え、昼食の調理など学校生活の役割を生徒自らが担う教育方針がとられた。
夫妻は校舎建築にあたり友人の建築家遠藤新に相談。遠藤は帝国ホテルの設計で来日したライトの助手を務めており、夫妻を紹介。ライトが夫妻の教育理念に共感し、設計することになったという。ライトと遠藤の設計による中央棟は21年の入学式後も授業と並行して工事が続き22年に全体が完成、同年に西教室棟、25年に東教室棟、27年に遠藤設計の講堂が完成した。
中央棟の外観は軒高を低く抑えて水平線を強調、ライトの建築様式の建物になっている。教育方針を反映し、建物の中央に食堂が置かれた。その照明はライトが工事中に訪れ、天井の高さに合わせて設計したという。朝の礼拝などが行われていたホールは、窓の幾何学模様の桟が美しい。
生徒数の増加などのため、学校は34年に現在の東京都東久留米市に移転。残った建物は「明日館」と命名され、卒業生の活動拠点などとして使われた。老朽化が進んだ80年代には学内外から保存の声があがるようになったという。
学園内での長年の検討の結果、会館事業などで収益を上げ、建物を維持管理する方針になったという。97年の重要文化財指定に関連しても、建物を現代社会で使い続けられるように望み、99年からの保存修理では大成建設が主に施工を受け持ち、文化財価値を尊重しながら、鉄骨による構造補強や雨漏りしないような屋根の改修、冷暖房設備の設置なども実施された。
2001年からは有料での施設見学、館内の各部屋を結婚式やクラス会、コンサート、懇親会などに貸し出す会館事業、だれもが受講できる公開講座、雑誌などの撮影場所として貸し出す事業も手がけている。
福田竜館長は、校舎時代にも結婚式や美術展、音楽会などが開かれていたと言い、「創立者は、ここに人が集まることで、何かが生まれる場所にしたかったんじゃないか」と推察する。建てられてから約100年。緑の芝生が広がる庭の向こうに、多くのビルを背景に立つ大正時代のライト建築には、今も人が集う。
(鈴木芳美、写真も)
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DATA 設計:フランク・ロイド・ライト、遠藤新 《最寄り駅》:池袋 |
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徒歩約5分の「豊島区立目白庭園」(☎03・5996・4810)は、庭園の中心に大きな池を配し周囲に園路を巡らせた伝統的な池泉回遊式の日本庭園。午前9時~午後5時。原則毎月第2・4月曜日(祝日、休日の場合は翌平日)休み。無料。