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オトコの別腹

永井龍之介さん
「木挽町よしや」のどら焼き

「木挽町よしや」のどら焼き

 画商として1990年から1年間をパリで過ごしました。西洋美術を求めての渡仏でしたが、浮世絵など日本絵画の良さを問われて驚いたことを覚えています。日本美術の素晴らしさに気付きましたね。 

 ある意味で和菓子も芸術的なものですよ。味だけじゃなく見た目や雰囲気とあわせて。よしやさんの「どら焼き」はあっさりと一口で食べられます。すっとしたのど越しでね。上品なのはあんこが甘さ控えめなのかな。二つ折りで大きさも程よくて。 

 2008年のこと、歌舞伎座辺りを散策していた時に、風情があるのれんに書かれた「よしや」のロゴが目に留まりました。今は銀座8丁目に画廊を構えていますが、当時は東銀座にビルを借りていたので、よしやさんは目と鼻の先でした。店内に入ると壁にずらりと焼き印が並んでいる。あれには驚くんじゃないかな。格好いいんですよ。歌舞伎役者から有名企業のものまであってね。  

 個展の祝賀会を開いていた時は、いつも永井画廊の焼き印のどら焼きを並べていました。最近はお土産としても重宝しています。実は「永井画廊」のロゴは画家の千住博さんのデザイン。父(故・永井三喜男)と私の時代を区別する意味も込めています。 

◆東京都中央区銀座3の12の9(☎03・3541・9405)。1個140円。午前10時~完売次第終了。「よしや」「季節物の焼き印」以外を購入希望の場合には事前に電話相談を。 


ながい・りゅうのすけ 画商。2代目永井画廊代表取締役。テレビ東京「開運!なんでも鑑定団」の鑑定士として出演も。著書に「知識ゼロからの名画入門」(幻冬舎)など。YouTube「永井美楽塾by永井画廊」で美術を学べる動画を配信中。

(2022年9月8日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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