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美博ノート

「瀬戸本業敷瓦」

タイルの幾何学 秩序と無限の模様
(INAXライブミュージアム)

 


美博ノート
明治時代 日本 約24センチ四方

 

 古代エジプトで、ナイル川氾濫(はんらん)後の復旧のための土地測量から発達したという幾何学。その知識を基にした幾何学模様は、タイルの柄としてイスラム圏からヨーロッパ、そして日本へと長い旅をする。

 タイルは幕末以降、イギリスから輸入され、洋風建築に使われた。「絵を転写する製造技法も伝わり、明治中期から愛知県瀬戸市で作られました」と主任学芸員の竹多格(たけだいたる)さん。

 藍色が日本らしい本作。「敷瓦」はタイルの当時の呼び名だ。完全な左右対称のデザインに見えるが、描かれたパーツの組み合わせ部分を見るとそうでないことがわかる。「幾何学模様に見せて主張を入れる。遊びをまぜた、憎いところですね」

(2016年6月21日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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