五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
こま犬を思わせる2体の守護獣。どこか愛らしい表情でたたずむ姿は、今にも動き出しそうだ。
本作は、神獣や守護獣を描き続ける現代美術家・小松美羽(1984~)が、有田焼の老舗窯元「弥左エ門窯」と共同で制作した。銅版画に始まり、アクリル画やミクストメディアの平面作品に取り組んできた小松の初めての立体作品。デザイン画をもとに職人が造形し、色みを強調するため、本焼きの後に作家自身が絵付けした。
作品は2015年、英国のチェルシーフラワーショーで金賞を受賞した庭園デザイナー石原和幸の作品中に置かれたことで注目を集め、現在はロンドンの大英博物館に収蔵されている。学芸員の伊藤和彦さんは、「作品のアニメ的な要素が、海外で受け入れられた理由の一つでは」と話す。