五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
陶芸作家の父が作る動物が好きだった。彫刻家、鈴木紹陶武(つとむ)のモチーフは、一貫して動物だ。鈴木が作り出す動物はみな、木の家の中にいたり、胴体が木箱だったりする。
ワニを題材に胴体を平屋の家で表現しようと考えていた矢先、動物園で後ろ足で立つように水中を漂うワニに遭遇。胴体部分の木箱に、ワニの後ろ足が浮く長さの脚を付けてベンチに変更した。細長い瞳孔の金色の目やウロコの質感、鋭い歯などリアルに作り込んであるが、どこか愛らしい。実際の胴体よりも長さを縮めて作った木箱や、ぶらんと脱力し、やや内向きの後ろ足がユーモラスだ。
実物同様、後ろ足は4本指で薬指の爪がない。テーマの動物を決めると、東山動植物園や名古屋港水族館に通い、様々な角度からスケッチを繰り返し徹底的に観察。生態まで調べあげる。新鮮な驚きや意外な発見が造形のヒント。同じ姿を持つ種が二つとない動物に魅了されている。