上絵金彩綾棒踊(あやぼうおどり)図花瓶
山吹色から青色へ。本作品にも見られる鮮やかなグラデーションを得意としたのは明治時代に活躍した京都の窯元・九代帯山与兵衛(1856~1922)。技巧的な造形と華麗な色使いが、海外で高い評価を得た。
万華鏡をのぞき込んだような「菱の葉文様」の訪問着は友禅染の人間国宝・森口邦彦が手がけたものだ。
規則的に見えるが六角形の柄の色、形は一つ一つ違う。肩から胸のあたりは余白を楽しむようにゆったりと配置。帯を締める部分の柄は小さめに、足元に向けて大きく華やかになる。学芸員の中村潔さんは「緻密に計算され、メリハリと動きが感じられます。実際に着用したらさらに見応えがあるでしょう」。
同じく友禅染の人間国宝だった華弘を父に持つ邦彦は20代のころパリに留学、グラフィックデザインを学んだ。そのままフランスでデザインに従事するつもりが、画家バルテュスのアドバイスもあって帰国。父のもとで蒔糊や糸目糊といった技法を習得した。
絵画のような具象表現を得意とした華弘に対し、邦彦は一貫して抽象的な幾何学文様に取り組んできた。斬新なデザインは三越のショッピングバッグにも採用されている。