鳥
今もモダン。様々な経験から培われた梅樹の色彩と造形感覚。
彩り豊かなモザイク画を手がけた板谷梅樹の父は、近代陶芸を牽引(けんいん)した板谷波山(1872~1963)。東京・田端に窯を築き、格調高い陶磁器を手がけた。
波山は制作に妥協を許さず、気に入らない作品をたたき割ったという。そのかけらに、梅樹は興味を持った。寄せ集めたり砕いたりして遊んだことがモザイク画制作のきっかけになった、と後に語っている。
「モザイク画に使う陶片は一般的にタイルをカットしたものだが、梅樹は陶磁器のかけらも使った。その独創性の原点には、父の存在があるのだろう」と、学芸員の高橋麻希さん。今展では、INAXライブミュージアムが所蔵する波山の陶片21点を初公開した。波山の代名詞といわれる、薄絹をかぶせたような葆光彩磁(ほこうさいじ)の技法を施した陶片もある。波山の陶片は、梅樹の作品の中にも見られる。東京・有楽町にあった日劇のモザイク壁画には白磁や青磁のかけらを用いたとされる。