板谷波山の陶片
父がたたき割った陶器の欠片。梅樹の独創性の原点。
岐阜県出身の陶芸家・荒川豊蔵(1894~1985)は、古窯跡から出土した陶片を研究し、桃山時代に美濃地方で生まれた焼き物の再興を目指した。今展では、荒川が集めた陶片の中から、ほぼ完成形のまま残るキセルと水滴を公開する。
たばこは南蛮貿易で日本に伝わったとされる。喫煙具のキセルは様々な素材で作られ、独自に発展した。
今展には、荒川が収集した陶製キセル26点が並ぶ。長さ13センチ前後の細い形と、くびれのある形の2タイプ。「いずれもシンプルな形で、釉薬(ゆう・やく)や模様も似ている。限られた窯で制作されたものでは」と、統括学芸員の加藤桂子さん。展示品のうち3点は、土岐市の隠居山窯跡から出土した記録があるという。
中には刻みたばこを詰める火皿部分が黒く、使用された形跡も。「荒川は古いものをめでていた。キセルを実際に使ってみたのかも」と加藤さんはみる。