上絵金彩扇面散文(せんめんちらしもん)大花瓶
高さ75㌢の花瓶は、今展に並ぶ約150点の中でも最大級。京焼の九代帯山与兵衛(1856~1922)が焼成し、横浜の陶磁器商・井村彦次郎が絵付けした輸出品だ。
つややかな白磁タイルを並べた茶室。作者の石井春は、ポルトガルのタイル「アズレージョ」の技法を学ぶ造形作家だ。絵や文様が描かれ、建物を彩る伝統的なアズレージョ。石井は独自の表現でオブジェやタイルを手がけている。
一畳台目とは、畳2畳よりやや小さい最小の茶室のこと。20㌢角のタイルをL字形につないだ部分は「水の庭」をイメージした。鮮やかな青色の中に現れた、雪の結晶のような模様が特徴だ。「静かな雨の中、穏やかな気持ちで過ごせるように」と石井は話す。
本作は日本で制作したが、ポルトガルでもほぼ同じ作品を作った。「日本的なものを意識して作ったことはない」というが、「日本人ならではの感性は、拭おうとしても自然と表れる。皆さんの中にもあるもので、もっと誇りを持っていいと思う」。