里見八犬伝
土井利位が雪の文様を意匠化。庶民にも広がっていった。
洋画家の北川民次(1894~1989)が文と絵を手がけた絵本「マハフノツボ」は、焼きものがテーマ。主人公の兄妹が「マハフノツボ(魔法の壺)」を探す男の子と出会い、陶器ができあがるまでの工程を訪ね歩く。本作は、火が噴き出す登り窯を子どもたちが見つめる場面だ。
北川は、メキシコから1936年に帰国した後の一時期を愛知県瀬戸市で過ごし、窯屋を題材とした作品を多く描いた。「瀬戸の作陶に触れた北川ならではの、臨場感ある描写が魅力的」と、瀬戸市美術館学芸員の坊田智寿瑠さんは話す。
絵本の編者は「コドモ文化会」。北川と美術評論家・久保貞次郎(1909~96)が中心となり、良質な絵本を作ろうと1941年に立ち上げた。メキシコの野外美術学校で教師を務めた北川と、児童画展の開催や欧米の視察などを通して美術教育の改革を目指した久保。2人の深い交流が、絵本を生み出した。