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美博ノート

ピュッレ/渦巻

岐阜県現代陶芸美術館「タピオ・ヴィルカラ 世界の果て」

1954年 エスポー近代美術館/TWRB財団蔵©Ari Karttunen/EMMA

 螺旋(らせん)を描いて広がる抽象的な木彫に、年輪のような無数の線がしなやかさを与えている。作者のタピオ・ヴィルカラは、北欧デザインの立役者として知られるデザイナー。その才はオブジェにも見ることができる。

 ヴィルカラは、素材が形を決めると考え、材質に合ったデザインを探して何十枚もスケッチしている。この頃、木彫の素材として合板を使い、板の継ぎ目を等高線のように削り出す手法を編み出した。学芸員の立花昭さんは、「合板はどう削ればどこに線が出るのか予測できるので、あらかじめ彫り出す線をイメージしやすかったのでは」と話す。
 方向によって形が違って見えるこの作品は、展示品の一つ、巻き貝のドローイングと印象が重なる。フィンランドの海沿いの町で生まれ育ち、北極海近くの湖畔にも居を構えたヴィルカラ。鳥や貝などの自然を好んでモチーフにした。

 

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