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美博ノート

黒茶碗

刈谷市歴史博物館「刈谷生まれの雪の殿さま 土井利位」

径11.2~11.7センチ、高さ7.3センチ 江戸後期 真田宝物館蔵

 作者は、雪の結晶を記録して「雪の殿さま」と呼ばれた古河藩主の土井利位(1789~1848)と、信州松代藩主の真田幸貫(1791~1852)。2人は、天保の改革を推進した水野忠邦とともに老中を務め、異国船の対応にも当たった。
 利位が茶碗を焼き、幸貫が富士山と和歌を描いたという。箱の蓋に「吹上御庭の土で造った」と書かれていることから、老中だった時期に制作したとされる。
 水野が失脚した1843年、利位は老中首座となって幕政を主導。その翌年、江戸城火災からの再建に行き詰まり辞任した。
 利位は様々な書画も残した。「江戸後期の内憂外患に立ち向かう中、心の安寧を求めていたのでは」と、刈谷市歴史博物館学芸員の長沢慎二さん。長年にわたって政治、文化の両面で利位を支えた古河藩家老・鷹見泉石とともに、文人画家の谷文晁にも学んだという。

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