ぶらり、ミュージアム

日本にもデザインミュージアムを!

(21_21 DESIGN SIGHT)

21_21 DESIGN SIGHT外観 Photo:Masaya Yoshimura/Nacasa&Partners Inc.

21_21 DESIGN SIGHT外観 Photo:Masaya Yoshimura/Nacása&Partners Inc.

  • 21_21 DESIGN SIGHT外観 Photo:Masaya Yoshimura/Nacasa&Partners Inc.
  • 21_21 DESIGN SIGHT外観 Photo:Masaya Yoshimura/Nacasa&Partners Inc.
  • エントランスから地下展示室へおりる階段 Photo:Masaya Yoshimura/Nacasa&Partners Inc.
  • 安藤忠雄建築らしいコンクリートの壁面 Photo:Masaya Yoshimura/Nacasa&Partners Inc.
  • 吹き抜けの空間も展示空間として使用 Photo:Masaya Yoshimura/Nacasa&Partners Inc.

 オーストリア応用美術博物館MAK(ウィーン)、ヴィクトリア・アンド・アルバート博物館(ロンドン)、パリ装飾芸術美術館、バウハウス資料館(ベルリン)、ニューヨーク近代美術館など世界の主だった都市にはデザインを主としたミュージアムがあります。

 悲しいかな日本には、21_21 DESIGN SIGHT(「トゥーワン・トゥーワン・デザインサイト」と読みます)が2007年に六本木に出来るまではデザインを主として扱う美術館が存在しませんでした。

 絵画や彫刻といった芸術作品と比べると「デザイン」に対する認識の低さがあったのかもしれません。しかし、我々の身の回りには建築、プロダクト、グラフィック、ファッションなどさまざまなデザインが存在します。デザイン無しには生活は成り立ちません。

 たとえば、誰しもが知る「キッコーマンしょうゆ卓上びん」(グッド・デザインマーク商品1993年選定)は榮久庵憲司氏がデザインした傑作のひとつです。使い勝手の良さと機能美、そして何より日本の食卓にぴったり合う唯一無二のデザインです。

 しかし、こうした商業デザインや工業デザインは「消費」されるものであるため、記憶に留まらず、最終的にはモデルチェンジを繰り返すなど商品そのものが販売されなくなり、この世から消えてなくなってしまう運命にあります。この辺が芸術品とは大きく違う点のひとつです。

 消え失せてしまう運命を背負っている「デザイン」をアーカイブ化し、歴史に留めておくことは、単にアートの側面だけでなく社会学的な面からも非常に大事なことであることは言うまでもありません。

 21_21 DESIGN SIGHTはそんなデザインの脆さを憂えた三宅一生の朝日新聞への寄稿がひとつのきっかけとなり、北山孝雄と三井不動産をはじめとし、佐藤卓、深澤直人、川上典李子ほか多くの賛同者からの協力を得て今から7年前に呱呱(ここ)の声をあげました。「日本にもデザインミュージアムを!」の願いがこもっているのです。

 また安藤忠雄が手掛けた大胆な建物はその大半が地下に埋まっており一般的なミュージアムの概念とは大きな違いがあります。建物からして「デザイン」を前面に出しているのです。

 

耳よりばなし

 「国立デザイン美術館をつくる会」
 昨年、21_21 DESIGN SIGHTにて「日本のデザインミュージアム実現にむけて展」が開催されました。これまでの活動を振り返ると共に、21世紀のデザインミュージアムに求められる役割が考察されました。2012年には、三宅一生(デザイナー)と青柳正規(美術史家/文化庁長官)が「国立デザイン美術館をつくる会」を設立。日本におけるデザインの重要性を広く伝え、後世に残していくために国立デザイン美術館設立に向けシンポジウムを開催するなど積極的な活動を行っています。「日本にはすばらしいデザインの歴史と今があります。」身の回りの生活を再認識する好機ともなるはずです。
 http://www.designmuseum.jp/


データ

21_21 DESIGN SIGHT

〒107-0052
東京都港区赤坂9-7-6
東京ミッドタウン・ガーデン内
開館時間:11:00~20:00
(入館は閉館の30分前まで)

休館日:毎週火曜日、年末年始、展示替え期間
電話:03-3475-2121
URL:http://www.2121designsight.jp/


 【筆者プロフィール】

中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/

(2014年5月12日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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