ぶらり、ミュージアム

長居してしまう、美術館と一体化したカフェ

(原美術館)

カフェ内観。空間にマッチした、emeco(エメコ)社、フィリップ・スタルクデザインのアルミ製の椅子とオリジナルデザインのテーブルも目を惹きます

カフェ内観。空間にマッチした、emeco(エメコ)社、フィリップ・スタルクデザインのアルミ製の椅子とオリジナルデザインのテーブルも目を惹きます

  • カフェ内観。空間にマッチした、emeco(エメコ)社、フィリップ・スタルクデザインのアルミ製の椅子とオリジナルデザインのテーブルも目を惹きます
  • カフェ外観。オープンエアでお庭に面したカフェ。四季それぞれの景色は美味しい料理の隠し味です
  • ハラ ミュージアム  アーク外観
  • ワインが付いた週末限定のメニュー 「ガーデンバスケット」(2人用3420円)

 正確な数字は分かりませんが、原美術館のカフェ ダール(Café d’art)は美術館に併設されているカフェの中でも利用率の高さは群を抜いていると思います。鑑賞後に「寄りたくなる」のではなく、「寄らずにはいられない」美術館と一体化したカフェです。

 そうした一体感を得られるのには理由があります。他のミュージアムが併設するカフェの運営を業者に任せているのに対し、カフェ ダールは原美術館自体が運営しているのです。つまり、シェフをはじめとする店員さんは、原美術館の専任スタッフなのです。(これはショップも同様です)

 1979年に美術館をオープンするに際し、館長自らデンマークのルイジアナ美術館やアメリカの美術館を視察に出かけた際に、美術館の付帯施設の大事さを実感し、カフェやショップも80年代にいち早く館内に取り入れたそうです。

 今となっては当たり前のことですが、当時はまだ日本の美術館ではとても珍しいものでした。展示室だけでなく美術館施設全体を楽しんでもらうという館長の思いが形となっているのです。

 20世紀初頭のヨーロッパ建築様式を取り入れた個性的な洋館をそのまま美術館へ転用した原美術館。都会の騒がしさが嘘のように静かな中庭を眺めながらお茶を飲めるカフェ ダールは時に行列が出来るほどの人気です。あまりに居心地がよいので長居をされ、ゆっくりお食事を楽しまれる方も。

 カフェ ダール人気の秘密は建物との一体感からくる居心地の良さだけではありません。専属シェフが展覧会ごとに知恵を絞り出し考案するメニュー(ランチもあり)、原美術館名物の「イメージケーキ」(展覧会の作品をイメージしたオリジナルケーキ)や週末数食限定「ガーデンバスケット」ら魅力的で豊富なメニューに支えられています。

 35年前に原美術館をオープンさせた頃は、呼び鈴を押して入館していた、知る人ぞ知る邸宅美術館も、現在では都内屈指の人気館として成長を遂げました。その裏には開館以来貫かれた明確なビジョンがあったのです。

 カフェ ダール Café d’art
 所在地:〒140-0001
     東京都品川区北品川4-7-25(原美術館内)
 電話 :03-5423-1609(カフェ ダール直通)
 ※カフェ ダールの利用は原美術館への入館が必要です。

 

耳よりばなし

 「ハラ ミュージアム アーク」をご存じでしょうか。1988年、榛名山麓にある伊香保グリーン牧場の一角に原美術館の別館として開館した美術館です。伊香保グリーン牧場に隣接し、屋外作品も含め、都心にある原美術館とはまるで違う環境の中でアート作品に出会えます。2008年に増築された特別展示室「觀海庵」(かんかいあん)では、古美術の優品を誇る「原六郎コレクション」と現代アートを融合させた新たな展示が試みられています。共に磯崎新が設計。第52回BCS賞、2010年日本建築学会作品選奨を受賞しています。そしてここにもカフェ ダールがあります!
 「觀海庵」
 http://www.haramuseum.or.jp/arc/kankai/


データ

原美術館

〒140-0001
東京都品川区北品川4-7-25
開館時間:午前11時~午後5時
(祝日を除く水曜日は午後8時まで)
※入館は閉館の30分前まで

休館日:月曜日・展示替期間・年末年始
電話:03-3445-0651
URL:http://www.haramuseum.or.jp
    http://mobile.haramuseum.or.jp
Blog:http://www.art-it.asia/u/HaraMuseum/
原美術館Twitter:http://twitter.com/haramuseum


 【筆者プロフィール】

中村剛士(なかむら・たけし)
Tak(タケ)の愛称でブログ「青い日記帳」を執筆。展覧会レビューをはじめ、幅広いアート情報を毎日発信する有名美術ブロガー。単行本『フェルメールへの招待』(朝日新聞出版)の編集・執筆なども。
http://bluediary2.jugem.jp/

(2014年5月20日掲載。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。すべての情報は更新時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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