私の描くグッとムービー

荒井真紀さん(絵本作家)
「シザーハンズ」(1990年)

雪降る夜、絵画的な世界

 両手がはさみになっている人造人間が主人公なので、最初はびっくりしました。丘の上の屋敷で孤独に暮らす彼が、ふもとの街で人気者に。そのきっかけを作った化粧品セールスの女性は、彼を自宅に招き入れるなど、世話好きで優しい。でも街には意地悪な人も。それぞれ人間味があって、現実とかけ離れた物語設定なのに、すっと入っていけました。

 いつも困ったような顔の彼は、不器用だけど純粋。応援したくなります。はさみを巧みに使って、庭の木や人々の髪をカットする場面も面白い。化粧品セールスの女性の娘との恋も交えて切ない展開に進みますが、報われなくても純粋な思いがあると感じられます。もともとラブストーリーはあまり見ませんが、主人公の思いに共感しました。

 ティム・バートン監督の世界観も印象的です。主人公の屋敷は暗い雰囲気ですが、人々が暮らす家々はカラフルなパステルカラー。色を用いた対比が絵画のようで、幻想的な雰囲気が引き立ちます。中でも、物語の最初と最後、夜に雪が降るシーンがおとぎ話のようで心に焼き付いています。

(聞き手・木谷恵吏)

  監督=ティム・バートン
  製作=米
  出演=ジョニー・デップ、ウィノナ・ライダーほか
あらい・まき
 1965年生まれ。昆虫などの細密画家・熊田千佳慕に師事。「たんぽぽ」で「ブラティスラヴァ世界絵本原画展」入賞。近刊に「チューリップ」。

(2019年11月15日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

「私の描くグッとムービー」の新着記事 一覧を見る
是恒さくらさん(美術家)<br>「サーミの血」(2016年)

是恒さくらさん(美術家)
「サーミの血」(2016年)

映画館へ行くと、気になったポスターをチェックしています。これはポスターに写る女の子の、目の力にひかれて見た作品。

工藤ノリコさん(絵本作家)「心の旅路」(1942年)

工藤ノリコさん(絵本作家)
「心の旅路」(1942年)

母の影響で古い映画が好き。モノクロの本作は約30年前に銀座の名画座で見て以来、ずっと心に残っています。

鳥居ユキさん(ファッションデザイナー)<br>「俺たちに明日はない(ボニー&クライド)」(1967年)

鳥居ユキさん(ファッションデザイナー)
「俺たちに明日はない(ボニー&クライド)」(1967年)

大恐慌が起きた1930年代のアメリカ。さえない日々を悶々と過ごすボニーは、ひょんなことから刑期を終えて出所したばかりのクライドと出会う。

寺門孝之さん(画家)「太陽を盗んだ男」(1979年)

寺門孝之さん(画家)
「太陽を盗んだ男」(1979年)

映画が大好きです。高校時代から大学3年生くらいまでは8ミリ映画の自主制作に熱中していました。

新着コラム 一覧を見る
劇場版ポケットモンスター ココ

シネマNEWS

はじめての冬公開となる「ポケモン映画」

夏はポケモン!”を合言葉に22年間夏に劇場公開をしてきたポケモン映画。そんな日本の夏の風物詩ともいえるポケモン映画の最新作「劇場版ポケットモンスター ココ」が今年、初めての冬公開。

コンフィデンスマンJP プリンセス編

シネマNEWS

『コンフィデンスマンJP プリンセス編』GACKT、シークレット出演情報解禁!!

主役級の超豪華キャスト陣の出演がすでに大きな話題となっている『コンフィデンスマンJP プリンセス編』。

劇場

シネマNEWS

『劇場』上海国際映画祭へ!

芥川賞作家・又吉直樹が描く“初の恋愛小説”を行定勲監督が実写化し、主演に山﨑賢人、ヒロインに松岡茉優を迎えた映画『劇場』。

ブームの卵

ブームの卵

8月7日 注目グッズ
「aketene(アケテネ)」など

封筒を開ける時、手で破くと中身も一緒に破けちゃったり、ハサミを探すのが面倒だったりするよね。

マイページへ 新規会員登録

プレゼント応募時に1度会員登録をされると、以後はパスワードなどの入力だけでご応募いただけます。

お知らせ(更新情報)

新型コロナウイルス感染症拡大を受け、開催を中止・延期するイベント、プレゼントがございます。