「ギレルモ・デル・トロのピノッキオ」(2022年) 戦争の爆撃で亡くなった息子が残した松ぼっくりが木となり、その木から作った人形に命が宿る。イタリアの児童文学作品「ピノッキオの冒険」を元に、ギレルモ・デル・トロがストップモーションアニメにしたダークファンタジーです。
両親の影響で幼い頃から1人で過ごすことが多く、大人になった今でも自分の殻に閉じこもっている主人公アメリ。一歩踏み出したいけれどできない中で、偶然古い宝箱のようなものを見つけたことをきっかけに、人々に幸せなおせっかいをしながらアメリ自身も成長していく物語です。
一番共感できたのが、好きな人に素直に好きだと伝えられないところ。「もう全然好きだって言えない!」みたいな。初めての感情やもどかしさ、恋をした途端に人の幸せが願えなくなってしまう不器用さが人間らしくてすごく好きです。
冒頭は特に、脈絡がない断片的な物語に見えますが、人生ってそんなものだよなと思うんです。自分の中ではプロセスがあっても、人から見るとやっていることがバラバラだったりしますよね。アメリの妄想が反映された映像がテレビから流れてくるシーンで、「人間には、人生に失敗する権利がある」というセリフが出てきます。あの言葉はアメリが自分の経験を元に見つけ出した答えなんでしょうね。バラバラだったものが全てアメリの経験になって、一つにキュッとまとまった言葉なのだと。わたしの人生の中でも、無駄だったのかなと思うこともあります。けれど自分を後押しする出来事につながっている。失敗しても良いんだと教えてくれる映画です。
アメリのように、「本当は誰かを幸せにしたいんだ」という自分の感情に気付く人が増えて、幸せなおせっかいで世の中があふれたら良いなと思います。
監督・共同脚本=ジャンピエール・ジュネ
製作国=仏 出演=オドレイ・トトゥ、マチュー・カソビッツほか
にこ・らいふ インフルエンサー 1987年東京都生まれ。YouTubeチャンネルの登録者数は70万人。今年、ライフスタイルブランド「BONUQUE」をオープンした。
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