上空を飛ぶ鳥の目線になって街並みを細かに描く「鳥瞰図(ちょうかんず)」を手掛けています。生まれ育った神戸が好き。船が発着し、日本と外国の人と物が出入りする中から生まれてきた街の文化にとても興味があります。
神戸元町商店街に1965年から店を構える「スターシップ」は、そんな神戸に欠かせない洋食文化をリードしてきたお店。ウッディーな店内は船の進行方向を示す舷灯(げんとう)も飾られ、まるで船に乗り込んだようで落ち着きます。看板メニューは「ビーフシチュー」。じっくり煮込まれた分厚い牛肉がゴロッと横たわり、秘伝のソースがぜいたくにかかっている。口に運ぶとホロホロと肉が溶けて甘さとコクが絶妙。しっかりお肉を食べている満足感があり、子どもの頃に「よそ行き」の服で出かけた時に似た非日常へと誘ってくれます。温かい言葉で迎えてくれるのも家族経営ならでは。最近始められた「モーニングセット」は名物のオムレツとクロワッサンが手軽に味わえておすすめですよ。
実は食事したのは昨年が初めて。誕生150年を迎えた商店街を描こうと一軒ずつ探訪し直して気に入りました。刻々と変化する街の姿を記録できるのが鳥瞰図のおもしろさ。「今日は何食べよう?」とこれからも地上を歩き続けます。
(聞き手・鈴江元治)
◆神戸市中央区元町通5の3の14(☎078・341・1548)。2200円(スープ、サラダ、ライスまたはパン付き)。[前]9時~[後]2時半(11時までモーニングセット<800円>のみ)、5時~6時半。[火][水]休み(変更の場合あり)。
あおやま・だいすけ 鳥瞰図絵師。1976年生まれ、兵庫県出身。高校時代に都市鳥瞰図絵師の第一人者、故・石原正氏に出会い、独学で志す。11月20日、神戸市中央区のポートピアホテルで「鳥瞰図絵師 青山大介が語る鳥瞰図の世界」がある。