読んでたのしい、当たってうれしい。

瀧川鯉八さん
コムべイクショップ フィナンシェ

 甘いものはそんなに食べないけれど、フィナンシェは別。中でもここのはバターのジュワッと感が前に出すぎていなくて、ほんのり甘くてカリッとした食感が好み。友人からの差し入れで出合って以来、この1年で4回もリクエストしてしまいました。

 高座に上がる前は、着物の帯もきつく締めるので、何も食べないようにしています。家に帰ってから風呂に入り、今日のことを思い出しながらアイスコーヒーをお供にして食べるのが至福の時間。特別なご褒美というよりは、ふとそばにあるとうれしい存在です。

 今年、落語家として20周年を迎えました。僕の落語は一から作る新作落語。寝ている間以外はずっと落語のことを考えています。これだ、というテーマが見つかったらひたすら物語を作っていき、寄席の1カ月前から話す練習をします。

 飽き性なのにずっと続けてこられたのは、作る作業が大好きだから。ここのフィナンシェも、ひと口食べただけで職人さんの丁寧な仕事が伝わってくる。落語への思いと重なるところも、引かれる理由です。

 そういえば、このフィナンシェを初めて食べた日の高座は、めちゃくちゃウケたんです。すごく気分が良かった思い出も相まって、大好きなお菓子です。

(聞き手・片山知愛)

 

 ◆東京都世田谷区船橋1の38の11。330円。午前11時~午後6時、土日祝は午前10時~午後5時。原則月木休み。営業時間、休業日はインスタグラムで要確認。

 


 

 たきがわ・こいはち 落語家。1981年生まれ、鹿児島県出身。2006年、瀧川鯉昇に入門。10年二ツ目、20年真打ち昇進。21、22年に「花形演芸大賞」金賞受賞。
 
(2026年9月24日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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