私のイチオシコレクション

川崎市岡本太郎美術館

グッドデザインに飽き足らず

川崎市岡本太郎美術館

「坐ることを拒否する椅子」1963年、再制作1998年。陶磁 各高さ45×幅40×奥行き40センチ=倉田貴志撮影

  • 川崎市岡本太郎美術館
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 当館は岡本太郎(1911~96)の母の実家があった川崎市へ太郎本人から作品を寄贈され1999年に開設しました。

 半年で退学した東京美術学校以来、主に油彩を手がけていた太郎は、53年創立の「国際デザインコミッティー」(現日本デザインコミッティー)への参加を機に、プロダクトデザインへと幅を広げます。コミッティーは丹下健三や柳宗理など建築家やデザイナーらによるデザイン運動で、東京・銀座の百貨店松屋に質の高い生活用品を集めた売り場を設けたことで知られます。太郎のサイコロ形の籐製イスもここに選定されています。

 57年には通産省の「グッドデザイン賞」(Gマーク)が制定され、身近なデザインへの意識が高まってくると、太郎は使い勝手優先のデザインばかりの状況に飽き足らなくなります。「グッドデザインよりバッドデザインにしてやろう」とのアンチテーゼから生まれたのが「坐(すわ)ることを拒否する椅子」です。

 鮮やかな色の信楽焼で、ユーモラスな顔と目玉が表現されています。ゴツゴツとした座面には長く座っていられません。そもそも顔があるので、座ってよいのか一瞬ひるむ。座る人を試すような遊び心が岡本太郎らしいと思います。乳幼児と保護者向けツアーでは、つかまり立ちの子どもたちに大人気です。大人もぜひ、実際に座り心地を確かめてください。

 「駄々っ子」は、小さい子が顔をゆがめて泣く表情のスケッチから生まれた椅子。2人で座ると自然と体が内向きになります。「仲良くなりたい人と座ると仲立ちしてくれるよ」と太郎は話していたそうです。

(聞き手・斉藤由夏)


 《川崎市岡本太郎美術館》 川崎市多摩区枡形7の1の5(問い合わせは044・900・9898)。午前9時半~午後5時(入館は30分前まで)。2点は15日から常設展「生誕110周年 ベラボーな岡本太郎」で展示。500円(23日から1千円)。原則(月)休み、12~14日休み。

さとう・れいこ

学芸員 佐藤玲子

 さとう・れいこ 1999年から現職。23日からの企画展「戦後デザイン運動の原点 デザインコミッティーの人々とその軌跡」など多数担当。

(2021年10月12日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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