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私のイチオシコレクション

カメイ美術館

チョウに魅了された第3代社長

アカエリトリバネアゲハ オス 1973年
アカエリトリバネアゲハ オス 1973年
アカエリトリバネアゲハ オス 1973年 「宇宙賛歌」 烏山邦夫 1994年 縦210×横215センチ

 当館は仙台市に本社をおく商社カメイの第3代社長を務めた亀井文蔵(1924~2011)が半世紀以上かけて収集したチョウをコレクションの柱の一つとし、約4千種、1万4千匹の標本を展示しています。

 宮城県塩釜市で生まれ育った亀井は少年時代からチョウに魅了され、採集や飼育、標本作りに夢中になりました。「アカエリトリバネアゲハ」はそんな亀井があこがれ続けたチョウで、1968年、マレーシアのジャングルで初めて出会ったときは手が震えるほど感動したそうです。

 東南アジアの熱帯の島々を中心に生息するアカエリトリバネアゲハは、その名の通り赤いマフラーを巻いたような首の赤色が特徴。羽を広げると約20センチにも及ぶ姿はまるで鳥のようです。

 温泉の湧き出す川岸の砂地に数十匹も集まって水を吸う「吸水行動」が特徴的です。吸水するのはオスだけで、性成熟のためミネラルを摂取しているのではないかと考えられています。

 亀井が自ら採集したり、購入したりしたものなど当館は31匹の標本を収蔵しています。絶滅の恐れがあるとして現在はワシントン条約で国際取引が規制されており、大変貴重なものです。

 「宇宙賛歌」は、長崎の昆虫愛好家でカトリック教会神父の烏山邦夫さんが、亀井のチョウに対する思いに感銘を受け制作しました。100種類以上、約7千枚のチョウの羽で宇宙の神秘をイメージしています。

 見る角度によって青く輝き「森の宝石」とも呼ばれるモルフォチョウや、前羽の先端が濃いだいだい色のツマベニチョウと思われる羽が使用されています。

(聞き手・田中沙織)


 《カメイ美術館》 仙台市青葉区五橋1の1の23(問い合わせは022・264・6543)。午前11時~午後4時(入館は30分前まで)。300円。原則(月)、年末年始休み。

 カメイ美術館 公式サイト
 https://kameimuseum.or.jp/

おかざき・えみ

学芸員・岡崎恵美さん

 おかざき・えみ 1975年宮城県出身、宮城教育大学卒業。1998年から現職。好きなチョウは、後羽の鮮やかな緑色の紋が特徴のルリモンアゲハ。

(2024年4月23日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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