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おんなのイケ麺(めん)

山内マリコさん
「青山 川上庵」の鴨南そば

「青山 川上庵」の鴨南そば
「青山 川上庵」の鴨南そば
「青山 川上庵」の鴨南そば 山内マリコさん

 作家としてデビューした後、取材などで写真を撮られる機会が増え、身だしなみも仕事の一部だと思うようになりました。そこで、知人に美容院を紹介してもらったんです。その美容院へ行く途中にあるのが川上庵。おなかがぺこぺこだったので、飛び込んだのが最初の出会いです。

 女一人でふらりとそば屋に入る、みたいなシチュエーションに長年憧れていて。少しだけドキドキしたけど、入ってみると私みたいに一人で来ている人もちらほら。鴨南そばにひかれて食べたらすごくおいしかった。麺は細すぎず、白すぎず、粗びきの少しボソッとした感じも食べ応えがあって理想的。つゆはしっかり濃いけど、鴨肉の少し酸味のある脂がコクになって口当たりが良く、ガブガブ飲んじゃうぐらい中毒性が高い。それ以来、髪を切るのと鴨南そばがセット。何としてでも食べられるよう、おなかをすかせて美容院へ行っています。

 人気店ですが、テラス席も2階もあって、いつ行ってもちゃんと座れる安心感があります。小説「あのこは貴族」では、長野県軽井沢町にある川上庵の本店という想定で、主人公が鴨南そばを食べるシーンがあるんですよ。

 ◆東京都港区南青山3の14の1(問い合わせは03・5411・7171)。
 1925円。
 午前11時~午後8時(ラストオーダー7時、現在時短営業中)。
 無休。
 軽井沢(長野県)や麻布(東京都)など計5店舗。


 やまうち・まりこ 作家。
 1980年、富山県生まれ。2012年に「ここは退屈迎えに来て」(幻冬舎)でデビュー。「あのこは貴族」(集英社文庫)が今年映画化された。年内に光文社から新作を刊行予定。

(2021年6月17日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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