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【相続会議】ひとりでも、ひとりじゃない――おひとり様終活に寄り添う心の準備〜未来へつなぐ人生のしまいかた〜

  終活コーディネーターの吉原友美さんが終活について語ります 

 

(この記事は、相続ポータルサイト「相続会議」 からの転載です)
 

終活コーディネーターの吉原友美さんが終活について語る連載「未来へつなぐ 人生のしまいかた」。近年「おひとり様」という言葉はすっかり一般的になりました。飲食店や旅行など、かつては複数人で行くのが当たり前とされていた場面でも「おひとり様専用」と銘打ったサービスが増えています。社会全体が「ひとりで過ごすこと」を自然な選択肢として受け入れるようになってきたのです。こうした流れの延長にあるのが「おひとり様の終活」です。特別な人だけの問題ではなく、誰にとっても身近なテーマとして考えられる時代になっています。

  

「おひとり様」は身近な生き方に

統計的にも単身世帯の割合は増加しています。厚生労働省によると、2050年には全世帯のうち単身世帯の占める割合が44.3%に達すると予測されています。また、65歳以上の高齢者の一人暮らしの占める割合も男女ともに増えており、2020年時点で65歳以上の男性のうち15.0%、女性のうち22.1%が単身世帯です(内閣府「令和6年版高齢社会白書」)。1980年時点の男性4.3%、女性11.2%と比べて大幅に上昇しています。

 

配偶者に先立たれたり、子どもと離れて暮らす方も多いため、おひとり様という生き方は今や特別ではなく、多くの人にとって身近な可能性を持つものです。

 

さらに言えば、「おひとり様」は必ずしも高齢者だけを指すのではありません。仕事や趣味を優先して独身を選ぶ人、都市部で自由なライフスタイルを楽しむ人など、その姿は世代や環境によって多様です。こうした広がりを踏まえると、おひとり様終活は誰にとっても関わりのあるテーマだといえるでしょう。

 

そして、配偶者や子どもがいても、最期を迎えるときは誰しも「ひとり」です。その意味では、私たち全員が「おひとり様」とも言えます。だからこそ、「どう穏やかに、自分らしく締めくくるのか」を考えることが今の時代に求められているのです。

 

小さな工夫で不安を軽くする  

終活をテーマにしたセミナーでよく耳にするのは「もしものときどうなるのか心配」という声です。「倒れて誰にも気づかれなかったらどうしよう」、「介護や医療が必要になったときに頼れる人はいるだろうか」、「葬儀やお墓はどうしたらいいのか」――。

 

こうした不安は、特殊な事情のある人だけが抱えるものではありません。年齢や立場を問わず、誰もが心のどこかに抱えています。だからこそ、「不安を持ってはいけない」と否定するのではなく、受け入れながら少しずつ整えていくことが大切なのです。

 

終活というと「遺言」「財産整理」「葬儀の準備」といった大きなテーマを連想しがちですが、もっと身近なことから始められます。

 

たとえば――

 

・日々の「ありがとう」を書き留めるノートを作る

・月に一度「自分を大切にする日」を決める

・好きな花や音楽をリスト化する

・行きつけのお店や病院の連絡先をまとめておく

 

こうした小さな工夫は自分を大切にしてきた証となり、いざという時には周囲の人をも支える手がかりになります。小さな積み重ねが、人生を前向きに支える「安心の種」になるのです。

  

お客様のケースから見えること

私が出会った、小さな工夫を実践した方々のケースをいくつかご紹介します。

 
まだ早いと思っていましたが、仕事で同僚を突然亡くしたことがきっかけで終活を意識しました。「ありがとうノート」をつけてみたら、家族や友人への感謝が次々に浮かんできて、書くほどに心が落ち着きました。終活って「死の準備」ではなく、「今をどう暮らすか」を考えることなのだと実感しました。(50代女性)

 

 
病気をしてから一人の時間が増え、寂しさが募っていました。そこで「自分を大切にする日」をつくり、好きな音楽を聴くことを習慣にしました。小さなことですが、「今日は自分のための日」と決めると孤独感が薄れ、毎日を前向きに過ごせるようになりました。特別な準備をしたわけではないのに、心の持ち方一つで安心感がこんなに違うものかと驚いています。(60代男性)

 

 
母が80代になり、物忘れや体調の不安が増えてきました。子どもとしてサポートする一方で、本人の思いや希望をどう汲み取ればよいのか悩んでいました。終活ノートを一緒に書き始めたら、母の好きな花や昔の思い出などが自然に会話に出てきて、親子で笑い合える時間が増えたんです。将来への備えを考えていたはずが、気づけば「今この瞬間」を一緒に楽しめるようになっていました。終活は未来のためだけでなく、今を豊かに彩るものでもあるのだと実感しました。(80代の母親を支えるご家族)

 

これらのケースに共通するのは、「小さな行動」が不安を和らげ、本人や家族双方の心を支えているという点です。

  

グリーフケアの視点から

私は大切な人を亡くした人が抱える深い悲しみ(グリーフ)に寄り添い、その人が悲嘆を乗り越えて新たな人生を歩んでいくことを支援する「グリーフケア士」として、大切な人を失った方の悲嘆と向き合ってきました。その中でよく耳にするのが「本人の希望をもっと知っていればよかった」という言葉です。

 

おひとり様終活は誰かに「迷惑をかけない準備」ではなく、「自分の思いを残す準備」です。希望を少しでも形にしておくことで、残された人が迷いや後悔に縛られずにすみます。結果的に、それが自分自身の安心にもつながるのです。

 

  

人生を穏やかに、自分らしく締めくくるために

終活は、命の終わりを整える作業ではありません。人生をどう穏やかに、自分らしく締めくくるかを整えるプロセスです。おひとり様であることは、孤独ではなく「自分らしく歩んでいける力」を持っている証です。

 

今日からできる小さな工夫を、ひとつでも取り入れてみてください。それは未来の安心をつくるだけでなく、“今を大切に味わいながら暮らすあたたかさ”を与えてくれるはずです。

 

ひとりでも、ひとりじゃない。

 

おひとり様終活を通じてそう実感できたとき、人はもっと穏やかに、もっと自分らしく、人生を安心のうちに歩み終えることができるのだと思います。

 

(記事は2025年10月1日時点の情報に基づいています)

 

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執筆者プロフィール
吉原友美(終活コーディネーター/グリーフケア士)

東上セレモサービス常務取締役/一般社団法人ライフ・パートナーズ理事。14年以上にわたり累計2万5千人以上が参加する終活セミナーを開催。自身の家族を早くに亡くした経験から、死生観を育てて生きることの大切さを伝えている。終活には死生観への気づきが欠かせないとの思いから、絵本を用いて人生や死を考えるきっかけを届けている。最新の終活事情や葬儀・お墓・相続についてもわかりやすく解説し、多くの支持を集めている。グリーフケア士の資格を持ち、悲しみに寄り添う活動も続けている。

 

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