街の十八番

石田琵琶店@虎ノ門

薩摩から継ぐ 琵琶製作

石田勝雄さん(右)と克佳さん

石田勝雄さん(右)と克佳さん

  • 石田勝雄さん(右)と克佳さん
  • 5弦用の糸を通す「覆手(ふくじゅ)」の仕上げ。琵琶独特の振動音「さわり」の表現のため、糸が触れる部分に象牙を用いている。4弦薩摩琵琶35万円~

 再開発が進む虎ノ門地区のど真ん中。1878年創業の石田琵琶店がたたずむ。

 西南戦争に従軍した初代が、兵士が弾く琵琶の音に感銘を受け、薩摩から3人の職人を連れ帰ったのが始まり。

 戦記物が多く、戦時中に戦意高揚にも使われたという琵琶歌は、戦後一時衰退。多くが店を閉めたが、苦難の時期を楽器修理で乗り越え、現在も手作業で製作・修理を行う。

 薩摩や筑前、楽、平家。大きさも材料も異なる琵琶全般を手がける。10年寝かせた貴重なクワや、ケヤキの木を注文者の予算に応じて用いる。

 4代目の石田勝雄さん(81)は「最初に音を出すときは楽しみであり、緊張もする」と話す。胴と表板に用いる木の相性で音は大きく変わり、正確な音は糸を張って初めて分かる。細かな調整で演奏者の好みに合わせていく。

 琵琶奏者でもある息子の克佳さん(51)は、古い琵琶を研究しながら、近年増える若い演奏者の注文にも柔軟に対応する。「今後はうちの琵琶が基準。責任もやりがいもあります」

(文・写真 安達麻里子)


 ◆東京都港区虎ノ門3の8の4(TEL03・3431・6548)。午前9時~午後5時。(日)(祝)(休)休み。虎ノ門駅。

(2019年1月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

「街の十八番」の新着記事 一覧を見る
水戸元祖 天狗納豆@水戸

水戸元祖 天狗納豆@水戸

茨城といえば納豆というイメージをつくったのが水戸の「天狗(てんぐ)納豆」。

大和屋@日本橋

大和屋@日本橋

東京・日本橋、三越前に店を構えるかつお節専門店。江戸末期、新潟出身の初代が、魚河岸のあった日本橋で商いを始めた。

佐野造船所@東京・潮見

佐野造船所@東京・潮見

水都・江戸で物流を担ったのは木造船だった。かつて、和船をつくっていた船大工は今はほとんど姿を消した。佐野造船所は、船大工の職人技を代々受け継ぎながら生き延びてきた。

天真正伝香取神道流本部道場@千葉・香取

天真正伝香取神道流本部道場@千葉・香取

「エイ」「ヤー!」。勇ましいかけ声と木刀の打ち合う音が響く。千葉県香取市、香取神宮のほど近く。約600年連綿と伝えられてきた古武術、天真正伝(しょうでん)香取神道流の本部道場だ。

新着コラム 一覧を見る
ブームの卵

ブームの卵

9月13日 注目グッズ
「しゅくだいやる気ペン」など

漢字の書き取りや計算。宿題はあるけど、やる気が出ない……。そんな子には、やる気を「見える化」する「しゅくだいやる気ペン」だ。

鈴木ヒラクさん(アーティスト)「コヤニスカッツイ」(1982年)

私の描くグッとムービー

鈴木ヒラクさん(アーティスト)
「コヤニスカッツイ」(1982年)

せりふは一切なく、映像とミニマル・ミュージックで知られる作曲家フィリップ・グラスの音楽だけで描いたドキュメンタリーです。

「廣榮堂」の元祖きびだんご

オトコの別腹

鈴鹿央士さん
「廣榮堂(こうえいどう)」の元祖きびだんご

岡山出身の僕にとってきびだんごと言えばこれ。小さいころから食べていたし、学校の給食で1個とか2個とか出てきたんですよ。

「金蠍」の汁あり金胡麻担担麺

おんなのイケ麺(めん)

望月理恵さん
「金蠍」の汁あり金胡麻担担麺

ラーメンはあまり食べないのですが、担々麺は大好き。特にこのお店は、一時期週3回も通っていたほどはまりました。

♪プレゼント♪

マイページへ 新規会員登録

プレゼント応募時に1度会員登録をされると、以後はパスワードなどの入力だけでご応募いただけます。