街の十八番

佐野造船所@東京・潮見

江戸の船大工の職人技つなぐ

繊維強化プラスチックを張った木造のフィッシングボート。中央の龍太郎さんが9年前、1年半かけて製作。左は稔さん、右は龍也さん

繊維強化プラスチックを張った木造のフィッシングボート。中央の龍太郎さんが9年前、1年半かけて製作。左は稔さん、右は龍也さん

  • 繊維強化プラスチックを張った木造のフィッシングボート。中央の龍太郎さんが9年前、1年半かけて製作。左は稔さん、右は龍也さん
  • 操舵(そうだ)席周辺は高級木材マホガニーを使用

 水都・江戸で物流を担ったのは木造船だった。かつて、和船をつくっていた船大工は今はほとんど姿を消した。佐野造船所は、船大工の職人技を代々受け継ぎながら生き延びてきた。

 伝統の和船に加え、戦前はマグロ漁船などの大型船、戦後は引き船や釣り船、ヨット、モーターボートと、時代とともに様々な船種を手がけた。しかし、一貫して木造にこだわってきた。

 創業の年は不明だが、場所は八重洲だったという。1844年、3代目が深川に拠点を移し、8代目まで続けたが、水害などの対策で河川を埋め立てるため移転を迫られた。1992年、江東区潮見の埋め立て地に新拠点を築いた。作業場に面した運河沿いに新造船を進水させる船台を備える。

 この移転のため、先代は大きな投資をした。「借金をゼロにして次代につなごう」。9代目の佐野龍太郎さん(66)と弟の稔さん(65)は約束した。その約束を数年前に完遂。龍太郎さんの息子、龍也さん(32)は10代目として木造船づくりの腕を磨いている。

(文・写真 牧野祥)


 ◆東京都江東区潮見2の9の16(TEL03・5683・1795)。午前8時半~午後5時。(日)(祝)(休)休み。潮見駅。

(2019年3月15日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

「街の十八番」の新着記事 一覧を見る
水戸元祖 天狗納豆@水戸

水戸元祖 天狗納豆@水戸

茨城といえば納豆というイメージをつくったのが水戸の「天狗(てんぐ)納豆」。

大和屋@日本橋

大和屋@日本橋

東京・日本橋、三越前に店を構えるかつお節専門店。江戸末期、新潟出身の初代が、魚河岸のあった日本橋で商いを始めた。

天真正伝香取神道流本部道場@千葉・香取

天真正伝香取神道流本部道場@千葉・香取

「エイ」「ヤー!」。勇ましいかけ声と木刀の打ち合う音が響く。千葉県香取市、香取神宮のほど近く。約600年連綿と伝えられてきた古武術、天真正伝(しょうでん)香取神道流の本部道場だ。

甲斐雨端硯(かいあめはたすずり)本舗@山梨県富士川町

甲斐雨端硯(かいあめはたすずり)本舗@山梨県富士川町

山梨県西部を流れる富士川に沿った国道52号沿いに、同県の郷土伝統工芸品に指定される雨畑硯の工房がある。「甲斐雨端硯本舗」は、元禄3(1690)年創業。

新着コラム 一覧を見る
飯野和好さん(絵本作家)「番場の忠太郎 瞼の母」(1931年)

私の描くグッとムービー

飯野和好さん(絵本作家)
「番場の忠太郎 瞼の母」(1931年)

子どもの頃は邦画といえば時代劇、洋画といえば西部劇でしたね。

ブームの卵

ブームの卵

5月17日 注目グッズ
「メレンゲスティック」など

泡立てた卵白を使って、ふわふわのオムレツやパンケーキを作ってみない?

「清芳亭」の湯の花饅頭

オトコの別腹

渋川清彦さん
「清芳亭」の湯の花饅頭(まんじゅう)

お菓子ってあんまり食べないんですよね、俺。甘いものは好きで食べるというより、頭を働かせたいなとか、疲れたなとか、そういうときに摂取する感じですね。

「蒙古タンメン中本」の冷し味噌ラーメン

おんなのイケ麺(めん)

森山愛子さん
「蒙古(もうこ)タンメン中本」の
冷し味噌(みそ)ラーメン

とにかくすーっごく辛いんです! でも辛いだけじゃなくうまみがあるんです。

♪プレゼント♪

マイページへ 新規会員登録

プレゼント応募時に1度会員登録をされると、以後はパスワードなどの入力だけでご応募いただけます。