読んでたのしい、当たってうれしい。

ロゴ散歩

成田山書道美術館

成田山書道美術館

「おのれの心を知る」外国人にも好評

 躍動する人の姿にも見える形は、毛筆で書かれた「心」。真言宗の経典「大日経」にある教えの言葉「如実知自心」(意味は、ありのままのおのれの心を知る)と書いた書幅の1文字だ。どこかありがたい感じがしないだろうか。

 年間1千万人を超える参拝者が訪れる成田山新勝寺。境内に広がる成田山公園の中に成田山書道美術館がある。日本の書を中心に約6千点を所蔵する、書の総合美術館だ。東京オリンピックを見据え、3年ほど前からメッセージ性のあるロゴをと検討していたところ、新勝寺の寺宝の一つで、江戸中期の名僧・慈雲の書幅からこの文字を見つけた。シンプルな1文字は、古くから信仰を集めてきた成田山のイメージと書道らしさを表すのにぴったりはまった。

 外国人の来館者にもロゴの意味を「heart」と説明すると、伝わりやすく好評だという。学芸員の谷本真里さんは、「印象に残った作品を、ロゴとともに心に刻んでいただけたらこの上ないですね」と話した。

 ◆成田山書道美術館 千葉県成田市成田640(問い合わせは0476・24・0774)。午前9時~午後4時(入館は30分前まで)。原則(月)(祝・休の場合は翌日)休み。500円。新型コロナウイルス感染拡大防止のため年内は休館し、2021年1月1日から開館予定。

(2020年6月16日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

ロゴ散歩の新着記事

  • ふじのくに茶の都ミュージアム 稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。

  • 京都市京セラ美術館 国内2番目の公立美術館として1933年に開館、「帝冠様式」の建物で知られる京都市京セラ美術館。

  • 諸橋近代美術館 福島県・磐梯高原に1999年に開館した諸橋近代美術館。シュールレアリスムを代表する画家サルバドール・ダリのコレクションで知られる。

  • 山梨県立美術館 1978年の開館以来、「ミレーの美術館」として親しまれている山梨県立美術館。開館時からの目玉、ジャン=フランソワ・ミレー(1814~)の「種をまく人」をはじめ、バルビゾン派の作品や地元ゆかりの作品を数多く展示している。

新着コラム

  • 美博ノート 五十三次 京三條橋 江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。

  • 建モノがたり 本館古勢起屋 (山形県尾花沢市) 川の両岸にレトロな旅館が立ち並ぶ。そんな銀山温泉のイメージを体現する築110年の「本館古勢起屋」は、老朽化などのため約20年ほぼ放置されていた。

  • 私のイチオシコレクション カメイ美術館 当館は仙台市に本社をおく商社カメイの第3代社長を務めた亀井文蔵(1924~2011)が半世紀以上かけて収集したチョウをコレクションの柱の一つとし、約4千種、1万4千匹の標本を展示しています。

  • ななふく浪曲旅日記 浪曲は治療、なら、浪曲師はお医者さん? 朝日新聞のWEBRONZA論座で「ななふく浪曲旅日記」として、連載をさせていただいておりました。浪曲のお仕事でさまざまなところへ旅をする中で感じたことを綴っておりましたのを、装い改めて、こちらで再連載することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。