読んでたのしい、当たってうれしい。

ロゴ散歩

郵政博物館

郵政博物館

伝書バトとポストに思い託して

 郵便ポストを思わせる朱色に、手紙をくわえた白い伝書バト。よく見ると、くちばしの上に小さな“鼻”がちょこんと突き出ている。制作当初はこの部分がなかったが、「手紙や通信は心をつなぐもの。シンプルな中にも温かみを出したい」と学芸員らが話し合い、後から付け足されたという。

 郵政博物館の前身が創設されたのは1902年。何度か名称を変えながら各時代の通信文化に関わる資料を収集・公開してきた。2014年に東京スカイツリータウンに移転、現在の館名に改称したのを機に、より多くの人に親しまれるようにとマークとロゴを制作した。

 内装設計も担当した丹青社のデザイナー・高柳敦さんは朱色をメインカラーに、レトロモダンな書体で郵便の歴史の重みを表現。「伝える人、届ける人、受け取る人がいて初めて郵便が成り立つ。ロゴも未来への手紙になるのかもしれない」と話す。副館長で学芸員の井村恵美さんは「当館で通信文化の歴史を知るだけでなく、誰かを思い、手紙を出すきっかけになれば」と願う。

 ◆郵政博物館 東京都墨田区押上1の1の2 東京スカイツリータウン・ソラマチ9階(問い合わせは03・6240・4311)。午前11時~午後4時(入館は30分前まで)。(土)(日)(祝)、28日~1月1日休み。

(2020年12月15日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

ロゴ散歩の新着記事

  • ふじのくに茶の都ミュージアム 稜線が白く浮き上がる富士山の手前に、緑の3本線で茶畑を表現した。数本の線を組にした「吹き寄せ」の縦じまは、小堀遠州が提唱した「綺麗さび」を意識。

  • 京都市京セラ美術館 国内2番目の公立美術館として1933年に開館、「帝冠様式」の建物で知られる京都市京セラ美術館。

  • 諸橋近代美術館 福島県・磐梯高原に1999年に開館した諸橋近代美術館。シュールレアリスムを代表する画家サルバドール・ダリのコレクションで知られる。

  • 山梨県立美術館 1978年の開館以来、「ミレーの美術館」として親しまれている山梨県立美術館。開館時からの目玉、ジャン=フランソワ・ミレー(1814~)の「種をまく人」をはじめ、バルビゾン派の作品や地元ゆかりの作品を数多く展示している。

新着コラム

  • 美博ノート 五十三次 京三條橋 江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。

  • 建モノがたり 本館古勢起屋 (山形県尾花沢市) 川の両岸にレトロな旅館が立ち並ぶ。そんな銀山温泉のイメージを体現する築110年の「本館古勢起屋」は、老朽化などのため約20年ほぼ放置されていた。

  • 私のイチオシコレクション カメイ美術館 当館は仙台市に本社をおく商社カメイの第3代社長を務めた亀井文蔵(1924~2011)が半世紀以上かけて収集したチョウをコレクションの柱の一つとし、約4千種、1万4千匹の標本を展示しています。

  • ななふく浪曲旅日記 浪曲は治療、なら、浪曲師はお医者さん? 朝日新聞のWEBRONZA論座で「ななふく浪曲旅日記」として、連載をさせていただいておりました。浪曲のお仕事でさまざまなところへ旅をする中で感じたことを綴っておりましたのを、装い改めて、こちらで再連載することになりました。どうぞよろしくお願いいたします。