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ロゴ散歩

市原湖畔美術館

市原湖畔美術館

湖面の揺らぎで「水辺」アピール

 ごく小さな四角形の集まり。見つめていると、かすかに揺れているように感じられないだろうか。ウェブサイト上のロゴマークは実際に、一部が小刻みに動いている。

 市原湖畔美術館は房総半島中央部、人造の高滝湖畔に立つ。2013年のリニューアルを前にロゴ制作を任されたグラフィックデザイナー・アートディレクターの色部義昭さんは「湖面の波紋や吹き渡る風のイメージを込めました」と話す。ヒントにしたのは日本画家・福田平八郎の「漣(さざなみ)」。白金の地に青の線を連ね、水面の揺らぎを描いた作品だ。

 館の名前もリニューアルに合わせて変わった。市民ら対象の公募に応じて色部さんも提案に加わった。「水辺は多くの方にとって心地よい記憶とともにある場所。館が水の気配とともにあることを印象づければ、足を運ぶ動機になるのでは」

 同館には、14年から3年に1回、周辺で開催される芸術祭「いちはらアート×ミックス」の拠点としての役割もある(3回目を今年開催予定。詳しくは公式サイト参照)。やはり色部さんが手がけたロゴは、地域の足である小湊鉄道からイメージしている。

 ◆市原湖畔美術館 千葉県市原市不入75の1(問い合わせは0436・98・1525)。平日午前10時~午後5時、(土)と(祝)前日9時半~7時、(日)(祝)9時半~6時。当面の間臨時休館。

(2021年3月9日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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