読んでたのしい、当たってうれしい。

ひとえきがたり

  • 上野駅(東京都、JR東北線ほか) 朝倉文夫の「翼の像」で待ち合わせ、平山郁夫のステンドグラスの下で切符を買う。数々の美術作品が彩る上野駅。中央改札の上には、何とものんびりした絵。縦6×横27メートルの大壁画「自由」だ。

    2014/12/16 更新


  • 東舞鶴駅(京都府、JR舞鶴線) 駅から北にまっすぐ延びる三条通。1キロ足らずの大通りの先に、入り組んだ湾が広がる。終戦の年、1945年から58年にかけて、大陸から舞鶴港に引き揚げてきた人たちは総計66万人。大半がシベリア抑留からの帰還者だ。故郷をめざして人々は三条通を駅に急いだ。

    2014/12/09 更新


  • 石川町駅(神奈川県、JR根岸線) 朝7時すぎ、鎌田浩司さん(67)は駅に立つ。神奈川県警伊勢佐木署の「スクールサポーター」だ。駅周辺には伝統を誇る私立女子校が4校。「乙女駅」と呼ばれるほど利用する女子中高生が多い。

    2014/12/02 更新


  • 八代駅
    (熊本県、肥薩おれんじ鉄道)
    特急列車のヘッドマーク、黒煙を上げる蒸気機関車の写真パネル――。駅から歩いて5分、廃業した映画館で鉄道展が開かれていた。数十点の出展資料は八代市の小中学校で教諭を務めていた小沢年満さん(故人)のコレクション。映画館での展示をとりもったのは、駅だった。

    2014/11/25 更新


  • 但馬三江(たじまみえ)駅
    (兵庫県、北近畿タンゴ鉄道宮津線)
    コウノトリが時に舞い降りる豊岡市の山里。ひっそりとたたずむ無人の駅舎に隔週の週末、手打ちそばの「ぽっぽや」が開く。

    2014/11/18 更新


  • 有田駅(佐賀県、JR佐世保線) 有田焼の町の玄関駅。1番線ホームの奥に、池と大小の岩に植栽を配した庭園風の一角がある。岩にはめ込まれた陶器の銘板には、1964年の二つの事業を「永久に記念して本苑(えん)の造苑を発起せり。

    2014/11/11 更新


  • 塩狩駅(北海道、JR宗谷線) ディーゼルカーのエンジン音が大きくなってほどなく、峠の駅に到着した。標高256メートル。暖房の効いた車内から降り立つと、寒さがいっそう肌に伝わる。

    2014/11/04 更新


  • 土合(どあい)駅(群馬県、JR上越線) 「寝てるので静かにしてもらえませんか」。取材中、フリースを着込んだ若い女性に叱られた。夜の8時前。待合室や改札前には、マットを床に敷き寝袋に身を包んだ人が20人ほど。傍らには大きなザック。寝息や高いびきも聞こえる。

    2014/10/28 更新


  • 井原電停
    (愛知県、豊橋鉄道東田(あずまだ)本線)
    「右に曲がります。ご注意ください」。豊橋市内を走る通称「市電」の車内にバスで聞くようなアナウンスが響く。井原電停のカーブは半径わずか11メートル。半径18メートルが精いっぱいとされる路面電車のなかでも、日本一という急カーブだ。

    2014/10/21 更新


  • 那岐(なぎ)駅
    (鳥取県、JR因美線)
    「午前中に稲刈りしてお昼すぎに出てくればいいから助かるよ」。夫と診察の順番を待つ柏原秀子さん(82)が言う。

    2014/10/14 更新