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建モノがたり

Good Job! Center KASHIBA(奈良県香芝市)

違い尊重「ワンルーム」で表現

吹き抜けから館内を見下ろす。左がショップ、中央奥は3Dプリンターを備えた作業机、さらに奥では張り子をつくっていた。利用者は1日30人ほど
吹き抜けから館内を見下ろす。左がショップ、中央奥は3Dプリンターを備えた作業机、さらに奥では張り子をつくっていた。利用者は1日30人ほど
吹き抜けから館内を見下ろす。左がショップ、中央奥は3Dプリンターを備えた作業机、さらに奥では張り子をつくっていた。利用者は1日30人ほど センターで開かれるマーケットや張り子作りのワークショップなどには地域の人も参加する

障害のある人たちの仕事づくりを目指す拠点。“ワンルーム”に込められたメッセージとは?

 木の壁と大きな窓が目を引く。静かな街並みに立つ建物は店舗のようにもオフィスのようにも見える。

 「何だろう? 入ってみたいなと思える、奇抜でなくても優しく温かい個性が出せればと思った」と設計したo+hの大西麻貴さん(39)は話す。

 「Good Job! Center KASHIBA」はアートを通じて障害のある人たちを支援する「たんぽぽの家」(本部・奈良市)が、長年の支援者から寄贈された土地につくった新しい拠点。地域や企業とも連携して新しい仕事の創出を目指した。

 大西さんと共同設計者の百田有希さん(40)は2年間、センター長の森下静香さん(48)らと打ち合わせを重ね、一緒に企業や施設の見学をした。その結果を形にしたのが、大きな吹き抜けのある「ワンルーム」だ。

 近所の親子連れが過ごすカフェ、全国の障害のある人が関わって作った雑貨や洋服、オリジナルの張り子人形などを並べたショップ、商品を作る工房、荷造りなどをする作業場、事務スペースがある。のんびりしたり、作業したり、パソコンに向かったり、それぞれが好きな場所でそれぞれの時間を過ごす。「違いを認め、大切にすることを、空間でどう表現するか考えた」と百田さんは話す。

 福祉施設として活動に応じて場所を分けるなどの基準があるが、できるだけ柔軟に利用している。森下さんは「使い方は1週間の中でも違うし、朝昼夕でも変わったりします」。

 木造建築の利点を生かしてDIYの棚などが付け足されている。「使い倒されている感じ」と大西さん、百田さんはむしろうれしそうだ。

(田中沙織・写真も)

 DATA

  設計:大西麻貴+百田有希/o+h
  階数:南館 地上2階、北館 同1階
  用途:障害福祉サービス事業所
  完成:2016年

 《最寄り駅》 香芝


建モノがたり

 南館にあるカフェGood Job Coffee((前)11時~(後)5時、問い合わせは0745・44・8229)では、無添加のソーセージと米粉のパンを使ったホットドッグ「Good Dog」やケーキ、コーヒーなどが楽しめる。服やカバン、アクセサリーや文具なども販売。(日)(祝)休み。オンラインショップ「GOOD JOB STORE」でも数多くの商品を取り扱う。

(2022年8月9日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

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