

従来の招き猫は、装飾を重ね「足すこと」を大事にしてきたものづくりが中心でしたが、SETOMANEKIでは発想を転換し、装飾を「引き算」していこうと。顔が小さく猫背のフォルム、立体的な手といった本質は残しながら、過度な装飾を削ぎ落としたシンプルなデザインに仕上げたことで、インテリアとして現代の暮らしになじみます。
きっかけはコロナ禍です。お店に足を運ぶ人が減り、贈答品だけでなく日常で楽しめる招き猫へとアップデートしようと考えました。
シンプルにしたことで、ごまかしが利かない難しさがありましたが、当社は70年以上、招き猫、置物に特化したものづくりをしてきた自負があります。試行錯誤を重ねること約1年、試作品は何十体にのぼりました。この制作を通して、「大事にしないといけないもの」「変えてはいけないもの」「変えていいもの」の取捨選択の判断は、我々にしかできないことだと、気持ちを新たにしたのです。
一方で、シンプルにすればするほど模倣されやすくなるという側面もあります。それでも、瀬戸で培われてきた技術や技法を凝縮しているため、同じ表現を再現するのは容易ではありません。
さらに、同じ形でも複数の窯元の釉薬で仕上げており、それぞれに異なる表情や味わいを持たせています。シンプルな造形の中に、瀬戸という産地の多様性も映し出されていると思います。
SETOMANEKIは、瀬戸焼の優れた伝統技術を継承・応用して生まれた、全く新しいコンセプトの招き猫なのです。

当社のある瀬戸は、千年以上の歴史を持つ陶磁器の産地で、瀬戸焼は日本六古窯の一つに数えられています。陶器と磁器の両方を生産できることが特徴で、古くから釉薬を使った多様な表現が発達してきました。
また、瀬戸焼には、時代背景とともに変わる技法や技術を受け入れてきた柔軟さがあり、伝統的な器から現代的な作品まで幅広い陶磁器が生まれてきました。
「瀬戸ノベルティ」と呼ばれる、観賞や装飾を目的とした人形や置物もその一つです。
石膏型を使う成形技術などがヨーロッパから伝わり、明治時代後半に生産が始まりました。
当社でもこの技法を応用し、招き猫(古瀬戸型の「瀬戸まねき猫」)や干支置物などを制作しています。こういった技術を今に生かし、現代の暮らしになじむようアップデートしたものがSETOMANEKIなのです。
招き猫といえば、手を上げ招いているポーズが特徴的です。一部の招き猫の手には「アタッチ」という技法を用いて、パーツをあとから取り付けることもしています。粘りけのある瀬戸の土だからこそ可能で、繊細で奥行きのある造形を生み出しているのです。
先人たちが築き上げた歴史と技術を誇りとしながらも、現状に甘んじることなく「変わり続けることが」できるのが、瀬戸焼の大きな魅力でもあります。

SETOMANEKIには、福を招くだけでなく「瀬戸へ人を招く」という思いも込めています。この置物をきっかけに瀬戸に興味を持ち、実際に足を運んでいただけたらうれしいですね。
また、招き猫や縁起物は、誰かの背中をそっと押すような存在でもあると考えています。日々の中で、少し前向きになれるきっかけを届けられたらと思っています。
時代に合わせて形やデザインは変わっていきますが、福を願う気持ちは変わりませんし、お客様の福を招くようなものづくりを続けていきたいと考えています。
招き猫、SETOMANEKIを通して、人と地域をつなぎ、次の時代へとバトンをつないでいく——それが私たちの仕事だと考えています。

異なる窯元の釉薬(ゆうやく)から生まれた8色は大中小の3サイズを展開。上げた手が金色に輝く「金手」のほか、異なる手を上げた2体がセットになった「SETOMANEKIギフト右左桐箱入」は赤白、黒灰マットの中小2サイズがある。


応募締切:2026年7月22日 16時