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美博ノート

あすか・夏

「岩倉壽(ひさし)と烏頭尾精(うとおせい)―鳥と自然と―」
名都美術館(愛知県長久手市)

烏頭尾精 2022年 89.4×145.5センチ 奈良県立万葉文化館蔵(後期展示)

 青々とした夏草の草原を、鳥の一群が渡る。

 奈良県明日香村に生まれ育った日本画家の烏頭尾精が、画業を通して描き続けているのは鳥。初期の「地にいる鳥」が、高度経済成長期を迎えた頃から空を羽ばたくようになり、そのうち風景も主題となった。

 「飛ぶ鳥を描き始めてからは、風景が見えてきたそうです。同時に多く使い始めた群青と緑青(ろくしょう)は、日本画の代表的な色。一つの色で表現する豊かなグラデーションが見事です」と、学芸課長の鬼頭美奈子さん。

 近年では、一見して鳥の姿が見当たらない風景作品もあるという。「もしかすると、自分が鳥になったつもりで、空から見る風景を描いているのかもしれません」

 京都の大学に通い始めてから、地平の広い奈良の美しさを意識するようになったという烏頭尾。94歳の今も、飛鳥時代の奈良の空を舞う鳥の目で、故郷の風景を表現している。

 

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