読んでたのしい、当たってうれしい。

美博ノート

マリアーノ・フォルトゥーニ
「ツーピースの『デルフォス』ドレス」

ヴェネツィア展(名古屋ボストン美術館)

 


美博ノート
1937年ごろ
Gift of Mrs, Sargent F. Collier
1986.960 Photo (c)2015 MFA, Boston.

 

 19世紀末~20世紀初頭にかけて活躍したベネチアのファッションデザイナー、フォルトゥーニ。古代ギリシャ美術を研究した結果生まれた、独自のプリーツ加工を施した生地のドレスは当時の社交界で流行となった。

 このドレスは、ボストン在住の寄贈者の父親がベネチアで購入したものだ。シルクサテンの生地の裾にはベネチアンビーズが多数縫い付けられている。装飾であるほか、ビーズの重さで体のラインをすっきり見せる働きを持つという。フォルトゥーニが特許を取ったというプリーツ生地の加工方法は非常に手間がかかるため、再現が難しいそうだ。

 この優美なドレスは、本展で人気の作品の一つ。ほかデザインが異なる2点のドレスも鑑賞できる。

(2015年11月25日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

美博ノートの新着記事

  • 志野山絵茶碗 銘瑞雲 通説を覆した大発見。陶片手がかりに挑み、再現した緋色の魅力。

  • 水滴 宇宙人かムンクの叫びか。サルや雀やカニなど、愛らしくユーモラスな動物の表情に注目。

  • キセル 実際に使ってみていた? 昭和を代表する美濃焼の陶芸家、荒川豊蔵が集めた桃山時代の陶器のキセル。

  • 板谷波山の陶片 父がたたき割った陶器の欠片。梅樹の独創性の原点。

新着コラム