楚蓮香(それんこう)
芳しい香りまでも絵から匂い立つ 光る上村松園独自の表現
片ひじをついて横たわる女性。腰部分だけをふくらませた「バッスルスタイル」は、細身のシルエットが特徴だ。ピンクのドレスにリボンやフリルと、一見可愛らしいいでたちだが、裾からは青い足がちらり。
これは18世紀以降、教養ある女性の象徴とされた青いストッキング。画中の女性はストッキングと読みかけの本で、自らのインテリぶりをアピールしている。「ファッションは着飾るだけのものでなく、個人の主張も表しました」とヤマザキマザック美術館学芸員の坂上しのぶさん。
やがて青いストッキングは「青鞜(せいとう)」という言葉になって日本に渡り、女性解放運動の代名詞となる。平塚らいてうが同名の女性文芸誌を刊行したのは1911年のことだ。