読んでたのしい、当たってうれしい。

美博ノート

ジョルジュ・ルフェーブル「青いストッキングをはいた女流詩人」

よそおいの200年(ヤマザキマザック美術館)

ジョルジュ・ルフェーブル「青いストッキングをはいた女流詩人」
1870年 長坂バロック蔵

 片ひじをついて横たわる女性。腰部分だけをふくらませた「バッスルスタイル」は、細身のシルエットが特徴だ。ピンクのドレスにリボンやフリルと、一見可愛らしいいでたちだが、裾からは青い足がちらり。

 これは18世紀以降、教養ある女性の象徴とされた青いストッキング。画中の女性はストッキングと読みかけの本で、自らのインテリぶりをアピールしている。「ファッションは着飾るだけのものでなく、個人の主張も表しました」とヤマザキマザック美術館学芸員の坂上しのぶさん。

 やがて青いストッキングは「青鞜(せいとう)」という言葉になって日本に渡り、女性解放運動の代名詞となる。平塚らいてうが同名の女性文芸誌を刊行したのは1911年のことだ。

(2017年7月18日、朝日新聞マリオン欄掲載記事から。記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

美博ノートの新着記事

  • 「工藝(こうげい)」第100号(「工藝」屛風(びょうぶ)・部分) 民藝運動の主導者、柳宗悦の唯一の内弟子。鍛えられた「直観力」とは。

  • あやめの衣 洋画のなかに日本の美。シンプルな構図で映える女性と江戸の小袖

  • ぬいとり 開催中の展覧会から注目作品をご紹介する「美博ノート」。全3回で、一宮市三岸節子記念美術館で開かれている「岡田三郎助 優美な色彩・気品ある女性像」を紹介します。

  • 三岸節子肖像 開催中の展覧会から注目作品をご紹介する「美博ノート」。今回から3回、一宮市三岸節子記念美術館で開かれている「岡田三郎助 優美な色彩・気品ある女性像」を紹介します。

新着コラム