五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
絵本「もこ もこもこ」(文・谷川俊太郎)の絵を手がけた画家・元永定正(1922~2011)。明るい色とユーモラスな抽象画が特徴だ。本展では絵本原画や版画など、約120点を四つの章で紹介する。
本作は、「もこ もこもこ」の中の1枚。左の切れ込みのある物体が、串団子をぱくっと食べるようにも見える。「にょき」「ぱく」といった状態や動作を表すオノマトペ(擬態語・擬音語)を多用し、従来にはない抽象画の絵本を生み出した。
詩人の谷川とは、66年、米留学中のニューヨークで出会い、意気投合した。帰国後に絵本の話が出て、元永の絵と谷川の言葉が自然に合わさったという。
同館学芸員の藤本奈七さんは「読み聞かせのときに、いかにおもしろく読むかが肝になる絵本です」と話す。