五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
江戸時代に発展したからくり人形は、祭礼や人形浄瑠璃に使われたほか、大名など富裕層の間では高級玩具として愛玩された。
「茶運び人形(男)」は、江戸時代のからくり人形師・細川半蔵頼直著の指南書「機巧図彙(からくりずい)」に記された設計図などを参照し、現代の木偶(でく)師・二代目萬屋仁兵衛(よろずやにへい)さん(56)が一から作り上げた。茶たくの上に茶わんを置くと、頭をふりながら歩き出す。木とセミクジラのヒゲでできたぜんまい仕掛けを内蔵している。
ぜんまい仕掛けには、一定の速度で歯車を回転させる、時計の「脱進機」の仕組みが採用されている。キリスト教と共に伝わったとされる機械時計の技術を取り入れたものだ。「西洋技術と日本の伝統文化を融合し、発展させたのが日本人らしい」と仁兵衛さん。