上絵金彩綾棒踊(あやぼうおどり)図花瓶
山吹色から青色へ。本作品にも見られる鮮やかなグラデーションを得意としたのは明治時代に活躍した京都の窯元・九代帯山与兵衛(1856~1922)。技巧的な造形と華麗な色使いが、海外で高い評価を得た。
三岸節子がパリ・セーヌ川に浮かぶサンルイ島を描いた本作。画面中央のオレンジがかった黄色が、細いグレーの帯のような川の向こうに見える島の紅葉だ。下部の黒い曲線は欄干だろうか。後景に並ぶ白い建物は、中州である島をはさんで向こう岸になる。
2度目の欧州滞在中にパリで開いた個展で高い評価を得た節子。欧州での活動にさらなる意欲を燃やし、帰国の予定を変更してブルゴーニュに家を購入した。
その後はブルゴーニュ、パリの風景をテーマに2度の個展を準備。各地でスケッチを重ねたが、パリでは油彩作品になる場所は多くなかった。自らを「色彩の画家」と呼んだ節子は、構図にもこだわった。
学芸員の大村菜生さんは、学生時代に訪れたパリで目にした景色を思い出したという。「節子が描きたかったのは対岸の街並みだったのでは」。大胆な構図の中に、節子が好んだパリのモノトーンの街が存在感を放っている。