五十三次 京三條橋
江戸・日本橋から約500キロ、東海道五十三次の終着点は京の玄関口・三条大橋。東山や八坂の塔を背景に、頭に薪をのせて売り歩く大原女、茶筅をさした竹棒をかつぐ茶筅売り、衣を頭にかぶった被衣姿の高貴な女性が行き交う。
細かい幾何学模様や鳥の模様で埋めつくされた大胆な色使いのテキスタイル。木綿にスクリーン印刷を施した本作はオーストラリア最北部のバサースト島、メルビル島からなるティウィ地域で制作された。
モチーフのプカマニポールは、アイアンウッドと呼ばれる硬質の木材に彫刻、描画した墓標。北米先住民などのトーテムポールを連想させる。「ティウィといえばプカマニポールといわれるほど知られています」と正村美里副館長は話す。
先住民は地域ごとに多くの言語・文化グループに分かれ、美術工芸品にもそれぞれ特徴がある。制作を奨励するために白人らによって持ち込まれたスクリーン印刷技術により、テキスタイルはティウィを代表する工芸品のひとつとなった。
プカマニポールをデザインした布は人気を博し、色鮮やかな作品がシドニーなどの大都市でも流通している。