読んでたのしい、当たってうれしい。

美博ノート

古清水扇面平鉢

桑山美術館「新春万福 吉祥の日本画と工芸」

江戸中期 縦13×横30.6×高さ2.8㌢ 桑山美術館

 末広がりの形が繁栄を表す扇は、初夢に見ると縁起が良い「一富士、二タカ、三なすび」に続いて「四扇」とも言われる吉祥の象徴だ。扇形の平鉢に松竹梅が描かれた本作はめでたさを強調する。


 古清水とは、清水焼などの磁器が誕生する前に京都で作られていた色絵陶器。「京焼の祖」と呼ばれる江戸前期の陶工・野々村仁清の作風にならった優雅な絵付けが特徴だ。側面の松の文様、一回り小さな扇形の高台など、細部にも吉祥のモチーフが。


 「松竹梅文様と口縁に金彩が施され、気品を高めている」と、桑山美術館学芸員の前田明美さん。「繊細に見えるが、筆致に大胆さもある。陶器ならではの温かみも魅力」と解説する。


 新年最初の今展では、近代日本画と茶道具が中心の同館コレクションから、新春やめでたさを象徴する作品を展示している。

 ※会期は2月4日まで

(記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

今、あなたにオススメ

美博ノートの新着記事

  • 置物・人形 ヘラの跡がよく見える、素焼きの人形。本作の作者・月谷初子(1869~1945)は、日本で最初期に洋風彫刻を学んだ陶彫作家だ。

  • 円筒深鉢 近現代美術を中心に所蔵する愛知県美術館と、古代~現代の陶磁器専門の愛知県陶磁美術館。両館コレクションを一堂に集める本展では、学芸員が独自の視点で設定した四つのテーマで作品が展示される。

  • 尿(いばり)する裸僧 裸の僧侶が鉢に向かって放尿する、強烈な印象の作品を生み出したのは、夭折の洋画家・村山槐多(1896~1919)だ。

  • 穴窯の中で金色にゆらめく炎に焼かれているのは、仏教の経典を収めるための経筒。描いたのは、現在の愛知県碧南市出身の美術工芸家・藤井達吉(1881~1964)。七宝、染織、金工、和紙工芸、日本画などジャンルを横断して制作し、刺繡やアップリケを施したびょうぶなど先駆的な作品を生み出した。

新着コラム