読んでたのしい、当たってうれしい。

美博ノート

聖アンナ、聖ヨアキム、洗礼者聖ヨハネのいる聖母子

三重県立美術館「果てなきスペイン美術―拓かれる表現の地平」

1646~55年ごろ 油彩・カンヴァス 190.4×121.6センチ 長崎県美術館蔵

 聖母マリアに抱かれた幼子イエス。足に口付けをする洗礼者聖ヨハネに、イエスは指を掲げて祝福を贈る。母子を中心とした聖家族図は、スペイン芸術文化の黄金期といわれる17世紀にしばしば描かれた。
 カトリックとプロテスタントの対立が激化したこの時代、カトリック国のスペインでは聖書の場面や聖人伝を広く伝える絵画が多く作られた。作者のフアン・カレーニョ・デ・ミランダ(1614~85)は宮廷画家として王家の肖像を手がけた一方、宗教画も残した。
 画面の両端で母子を見つめるのは、マリアの父母。2人の表情は憂いを帯びている。「イエスに将来降りかかる受難をほのめかしているようだ」と、三重県立美術館学芸員の坂本龍太さんは話す。
 同館と長崎県美術館は国内でも珍しく、スペイン美術を収集方針の一つに掲げている。今展では2館が所蔵する中世~現代の作品を紹介する。

(記事・画像の無断転載・複製を禁じます。商品価格、営業時間など、すべての情報は掲載時点のものです。ご利用の際は改めてご確認ください)

美博ノートの新着記事

  • 自画像 スケッチブックを抱え、険しい顔つきの青年が荒野を歩いている。

  • あすか・夏 青々とした夏草の草原を、鳥の一群が渡る。

  • 青い白い鳥 岩倉壽と同年代で、高校、大学と教壇に立ちながら日本画の制作を続けた烏頭尾精(1932~)。

  • 蕪(かぶら)と茄子(なす) 戦後の京都画壇を代表する山口華楊(かよう)に学んだ日本画家、岩倉壽が亡くなる3年前に描いた本作。

新着コラム