「画家としての自画像」
画家としての自信みなぎる自画像。あの頃のゴッホ
よく知られた同題のミレーの名作がある。本作はそのオマージュだ。
オランダの農村に生まれ育ったゴッホは、農民画家と呼ばれるミレーの作品をいくつも模倣している。「ゴッホは、農村や農民を善なるものと捉えていました。力強く生きる農民を描いたミレーに、憧れや敬意があったのでしょう。弟テオへの手紙でも率直に称賛しています」と、学芸員の石崎尚(たかし)さんは話す。
ただ、ミレーの絵に木はない。この頃のゴッホは、日本の浮世絵に傾倒していた。「画面を分割する大胆な構図は、浮世絵の影響だと考えられます」と石崎さん。独特の色調は、ドラクロワの色彩理論を採り入れたものだと言う。「多方面への憧れを素直に吸収し、自らの表現として結晶させています。大きな太陽には、一日の労働を終えた農民への共感を込めたのではないでしょうか」